2020 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of social movements of water resource-Bolivian case
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20K22163
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牧田 裕美 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (00882862)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 社会運動 / ボリビア / 水資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究実施計画に照らし、文献と資料のサーベイを行なった。まず、これまで現地調査で入手した資料で分析されている視点と、最新のジャーナルの着眼点の比較を行った。こうすることで、改めて研究対象の事例が、複数の視点からの分析が可能であることを確認できた。これまでボリビアにおける社会運動は、運動のスローガンが市民の多数の支持を集めたとして分析されてきた。しかし、運動家の声明文や、当時の参加者の備忘録などを詳細に確認することで、複数の特定の社会運動組織がいつ運動に参加したのか、この視点から運動の興隆を説明できるのではないかということが明らかとなった。これまでもボリビアにおける社会運動は多く分析されてきたが、運動参加者の同盟関係および時系列に関する分析はあまり行われてこなかった。この視点を分析することで、ボリビアの社会運動の全体像を把握するだけでなく、これまでの先行研究の再検討も可能になると考える。 次に、まだ分析を進めていない資料の読解も行なった。具体的にはボリビア東部の複数の水道協同組合の内部文書と実績報告書である。ボリビア東部最大の水道協同組合は、これまでも世界銀行などの調査によってその運営体制が優れていると評価されてきた。だが、分析を進めていくうちに、ボリビア東部には複数の小規模の水道協同組合も存在しており、いずれも協同組合員のニーズを満たすサービスを提供していることが明らかとなった。本研究のテーマのひとつである「ボリビアにおける水に関する社会運動」としてこれらの事例をいかに関連づけて論じていくのか、ボリビア東部の水道協同組合の事例の歴史的、政治的背景の把握を引き続き行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載した通り、現地資料の分析と文献のサーベイは順調に進んでいる。引き続きこれらの分析を行いつつ、現地調査を行なう場合の調査対象者の選定やインタビュー内容の考察も進めており、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現地調査に向けて、調査対象者とインタビュー内容の選定を行う。これまでも交流のある調査対象者と、スカイプやzoomなどのオンラインツールを通じたインタビューの実現に向けて議論しており、文献のサーベイを通じて生じた疑問や着眼点などを、運動参加者や現地の専門家と議論する機会を設けようと考えている。可能であれば現地調査に赴き、不足している資料があれば収集することも想定している。
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Causes of Carryover |
現地調査を行うために旅費を確保していたが、現地調査を実行できなかったため、次年度使用額が生じてしまった。
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