2021 Fiscal Year Research-status Report
Developmental mechanism of conformity among early children in their groups: Focusing on the relationships between Japanese groupism and the style of early children's behaviors
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20K22183
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
宮本 雄太 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 講師 (50883097)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 幼児 / 同調性 / 集団 / 文化 / 生成機序 / 質的研究 / エスノグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,エスノグラフィーの手法を用いて保育集団が持つ文化性と幼児間の言動様式の関連を検討することで,保育集団内にみられる幼児間の同調性の生成機序に関する実態把握を目的とする。これまで幼児集団の同調性は,[保育者-幼児間]の関係性の中で多くの検討がなされてきた。しかし,クラス規模の保育集団において同時多発的に発生する幼児間のやりとりから同調性を検討する研究については,記録すること自体の困難さから検討が少ない。本研究は,エスノグラフィーの手法を用いて幼児の保育集団内に生じる同調性を微視的に検討することで,幼児期の原初的な同調性の生成機序の実態把握を行うものである。具体的には,(1)同調性を生み出す施設形態の文化性の違いを捉えること,(2)保育集団内の活動別にみられる幼児間の同調性の表出の違いを検討すること,という二点から幼児が表出する同調性の過程を微視的に検討していく。1年半の研究全体の流れとしては,保育集団が持つ文化性と幼児間の言動様式の関連から幼児間の同調性の生成機序の実態を検討するために,初年度(2020年度)は,「施設形態の違いを捉えるための参与観察と収集データの整理・分析」を行った。次年度(2021年度)は「参与観察の継続」「収集データの分析に基づいた幼児間の表出の実態についての検討・発表」「保育者への聞き取り調査」を実施した。ただし,コロナ感染の影響で参与観察データが十分に取れなかったこと,また保育者への聞き取り調査では,本研究が目指す「幼児間の同調性の生成機序」における保育の文化性に対して重要な指摘が収集されたものの,コロナの影響で対象数を十分に取ることができず,予算執行枠に剰余が出た。よって,一年の期間延長をし,最終年度(2022年度)は昨年度の調査の継続と調査研究の発表・論文化を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は,幼稚園/保育所/認定こども園の多様な施設での参与観察を実施した。収集したデータに基づいて,学生/保育者と意見交換する中で幼児の行動表出の実態を整理した。また,学会発表に向けたデータ分析とともに次年度に向けた幼児の行動表出に関するリーフレット作成の下地を整えた。2021年度は,前年度のデータを踏まえた継続観察の予定が,コロナウイルス感染症の影響で想定を超える遅れが生じた。また,保育者への聞き取り調査においても,検討すべき内容が出てきた一方で,コロナ禍での聞き取り調査の進捗が大幅に遅れた。既に調査を終えている部分に関する発表や論文化は進んでいるものの,全体としては遅れが生じている。よって,一年間の期間延長をすることで,本調査を継続的に進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,コロナウイルス感染症の影響で3施設形態での参与観察に入ることが難しかった園以外に協力を得た園に対しても調査を行いデータを収集するとともに,保育者に対しても継続的に聞き取り調査を行う。このような展開の中で,(1)データ及び資料収集の整理・分析,(2)研究発表及び論文化,(3)実践現場への研究知見の普及を意図したリーフレット作成の3点の実施をする。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の影響で保育観察日数及び保育者への聞き取り調査数が当初の予定よりも大幅に少なくなったことから,調査の残額が生じた。今年度は,コロナウイルス対策の改善が進んでいることから観察日数及び保育者への聞き取りも取り組むことが可能であること,リーフレットの印刷・配布を行うことから今年度の残額分は適切に研究費を執行することができる。
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Research Products
(5 results)