2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K22186
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
笠松 敬太 神戸大学, 人文学研究科, 人文学研究科研究員 (60879584)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 自治体史 / 青年団 / 青年学校 / 農山漁村経済更生運動 / 畜産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は1930年代の地域社会の様相について、兵庫県美嚢郡(現在の兵庫県三木市)を事例に分析を行った。三木市史編さん室の調査により、農山漁村経済更生運動に関する史料を発見した。経済更生運動とは、昭和恐慌を背景にして発生した農村の不況を立て直す運動であり、美嚢郡志染村は経済更生運動の指定村に選ばれていた。史料の調査を行った結果、志染村では村財政の再建には成功したものの、農家間の経済格差が広がっていたことが明らかとなった。 また、三木市史編さん室の調査では、志染青年学校に関する史料も発見した。志染青年学校では、職業教育のために食料品加工の施設があった。また、その施設は個人で購入するには高価なものだったため、学校が代わりとなって購入したものであり、加工製品は販売されていた。志染青年学校に関する史料から、青年学校は単に教育施設としての役割を果たしたのではなく、地域の産業の一部を担っていたことが分かった。 本年度は、地域の畜産業の様相についても検討した。三木市立上吉川小学校で『北谷時報』という1930年代に発行された新聞を発見した。新聞には北谷村の畜産業の様子が詳細に記されていた。北谷村では肉牛の飼育が行われており、品評会で入選するほどのブランド牛を飼育していたことが分かった。また、鶏のエサとしてトウモロコシが使われていたが、日中戦争以降、アメリカからの輸入が止まったため、トウモロコシを村内で育てるために荒れ地の開墾が行われたことも新聞から分かった。日中戦争が地域内の農業に影響を与えていたことが分かった。
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