2020 Fiscal Year Research-status Report
保育の仲間関係をめぐるクラス替えの実践知に関する研究
Project/Area Number |
20K22191
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Research Institution | Nayoro City University |
Principal Investigator |
及川 智博 名寄市立大学, 保健福祉学部, 講師 (50879450)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 保育 / 幼児 / 保育者 / 仲間関係 / クラス替え / 実践知 / 専門性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,保育者が新年度のクラス替えをいかに議論・編成しているのか,その実践知を明らかにすることである。 この目的を達成するために,申請時には保育施設へ定期的に訪問する調査を計画していたが,採択以降も国内のCOVID-19感染拡大収束の目処が立たない状況が続いた。そのため,当該年度は申請当初の計画を変更し,以下の2つの調査を進めた。 第1に,当該年度に実施される研究結果の生態学的妥当性を検討するべく,COVID-19感染拡大が保育にいかなる困難さを生じさせているかを探る質問紙調査を実施した。回答を得た保育者60名の資料を分析した結果,以下の2点が示唆された。(1) COVID-19感染拡大下において保育者は,仕事量の増加,例年の保育計画の見直し,今後の保育のねらいと見通しを持ちづらいことの3点により,日々の保育に困難感を抱いていることが示唆された。(2)特に,例年実施してきた保育内容を精選しつつもどのように継続していくかについて苦労・葛藤していたことが,保育者たちの困難感として立ち現れていることが考えられた。以上より,保育者は有事下でも可能な範囲で日常的な生活を維持し,保育の質を担保することを葛藤しつつ試みていること,また感染拡大下の2年目となる次年度については,一定の見通しをもってクラス替えを検討・実施していくことが考えられた。 第2に,調査計画の見直しを行った上で資料の収集を進めた。特に感染拡大防止の観点から,保育施設への訪問を最小限に抑えるために計画を見直し,年度末の,新年度のクラス編成が決定した段階で面接調査を行うこととした。最終的に保育施設3園(幼保連携型認定こども園2園,幼稚園1園)の保育者を対象に,新年度の年中・年長学年のクラス編成をどのように決定したかについて振り返ってもらうフォーカス・グループ・インタビューを実施した。現在,得られた結果の分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度はCOVID-19感染拡大収束の見通しが立たない状況下であったため,研究目的を可能な範囲で達成するべく,研究計画の見直しを行った。この見直しにより,COVID-19感染拡大下の保育にかかわる知見を得たと同時に,1年に1度しかないクラス替えのタイミングを逃すことなく本調査を実施することができた。以上の理由から,本研究課題の進捗状況については,おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,当該年度に得られた本調査の資料の分析を進めていくほか,随時,学会発表や論文投稿を通して結果を公表していくことを目指す。追加調査については,得られた資料の分析結果およびCOVID-19の感染拡大状況により判断することとしたい。
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Causes of Carryover |
当該年度はCOVID-19感染拡大防止のため,保育施設への訪問を最小限に抑えるべく研究計画を見直した。その結果,旅費および資料処理に関わる費用に余裕ができたため,次年度使用額が生じた。次年度使用額については,状況に応じて実施される追加調査や,資料の分析・考察に関わる支出に充てることで,制約下においても充実した調査結果を得られるように努めたい。
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