2020 Fiscal Year Research-status Report
社会・経済の影響を踏まえた教育政策の効果検証ーミャンマー基礎教育を事例に
Project/Area Number |
20K22201
|
Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
吉田 夏帆 高崎経済大学, 地域政策学部, 特命助教 (10878383)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
Keywords | 教育政策 / 教育格差 / 社会・経済 / 修学実態 / ミャンマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ミャンマーの基礎教育を事例に、マクロデータから溢れ落ちてしまうミクロな修学実態に着目しつつ、学習者を取り巻く社会・経済の影響を踏まえた教育政策の効果検証を試みる。そして、都市部と地方部における分析結果の比較・検討を通して、SDG4達成に向けた同国を含む開発途上国への具体的な提言抽出を目指す。 研究初年度となる2020年度は、COVID-19パンデミックやミャンマー国内のクーデターの勃発などにより、予定していた現地調査の実施が叶わなかった。そこで、本年度は当初の計画を変更し、同国都市部の収集済みデータを用いて、学習者を取り巻く社会・経済の影響を踏まえた初等・中等教育における教育政策の効果を検討した。具体的には、まず異なる社会経済的地位(SES)を有するグループごとに教育政策(教育評価制度の改定)実施前後の留年・退学率の推移を分析し、その上で、「各SESグループの修学状況(各年度の留年および退学の発生率)」を従属変数、「教育評価制度の改定状況」「学習者のSES」「学習者の家庭経済状態の変化」を独立変数とする重回帰分析を行った。そして、その研究成果を国内の複数の関連学会にてそれぞれ報告した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、COVID-19パンデミックやミャンマー国内のクーデターの勃発などにより、当初計画していた現地調査の実施は叶わなかった。他方、そのような状況下においても、同国都市部の収集済みデータを用いて分析を進めたことで、都市部における学習者を取り巻く社会・経済の影響を踏まえた教育政策の効果の検討は大方完了させることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究2年目となる2021年度は、前年度に完了した都市部の分析結果を論文などに取り纏め、関連分野の国際学術雑誌等での公表を試みる。加えて、2021年度は収集済みデータを活用して地方部の分析も進め、その研究成果の公表等も適宜行う。また、対象国におけるCOVID-19パンデミックやクーデターの動向をにらみつつ、現地調査あるいは遠隔調査の実現の可能性を検討および模索する。仮にそれらの実現が叶いそうにない場合は、収集済みデータの分析に注力し、本研究課題の目的の達成を目指す。
|
Causes of Carryover |
本年度は、対象国におけるCOVID-19パンデミックやクーデターの発生により、当初計画していた現地調査の実施が叶わなかった。ゆえに、それに係る海外旅費や謝礼などの経費の支出が発生しなかったため、次年度使用が生じた。今後の使用計画としては、現地調査や遠隔調査の実施が可能な場合はその海外旅費や謝礼などの経費に充て、それらの実現が難しい場合は分析作業に必要な物品や研究備品の購入、国内旅費、研究成果の公表に係る諸経費等に充てることを検討している。また、状況次第では、研究計画を一年延長させることも視野に入れている。
|
Research Products
(3 results)