2022 Fiscal Year Annual Research Report
多文化共生社会実現に向けた道徳授業海外協働実践研究
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20K22219
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
松田 憲子 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (70874519)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 道徳科 / 多文化共生 / 韓国道徳教科書 / 相互理解 / 国際理解 / 教材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度に現行の小学校教科書教材1721本を分析し、海外素材教材が少ないという課題を明らかにした。令和3年度には韓国道徳教材を改作して「国際理解」「相互理解・寛容」をねらいとした教材を開発し、国内の小学校で実践を重ねた。それらの実践をふまえ、令和4年度は「葛藤と向き合う」ことをテーマに教材「Paulの悩み」を開発した。これは令和3年度と同様、韓国道徳教科書を素材に、葛藤を乗り越え、どのように互いを理解し合うか考える教材である。多文化共生社会で起こる葛藤をどのように乗り越えるのか、教材を通して考えることをねらいとした。 「共生」に向けた教材を用いて、サンカルロス大学附属初等中等学校(フィリピン)で、日本人教員による道徳授業を実践した。Grade5、6、7(小5~中1)で、「Paulの悩み」の授業実践では、ビデオやワークシート分析から、道徳的ねらいがおおむね達成できたことがわかった。また、これまでフィリピンでの実践で成果のあった「四本の木」を、Grade5で現地教員と協働で実践した。授業を通して、現地の教員や研究者と協働で指導方法や教材について検討することができた。 これらの実践を通し、「共生」する力を育む教材には、相手を理解する、互いの違いを受け入れる、互いに伝え合うなどの視点を取り入れることが有効であること、また、指導方法では、全体で考える場と、それをもとに様々な場面で自分ならどうするか考える場の両方を位置づけることで、実践的な学びとなり、子どもたちが問題場面に主体的に取り組むことがわかった。さらに、子どもたちだけでなく、授業者にとっても多文化共生についての意識が高まった。開発した「Paulの悩み」を国内で実践し、児童の反応を比較したうえで、今後の教材や指導方法の改善に役立てていくことが課題である。
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Research Products
(1 results)