2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of Teaching Materials for Advanced Japanese History in Senior High School Based on Knowledge of Recent Maritime Asian Studies
Project/Area Number |
20K22220
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
大西 信行 中央大学, 文学部, 特任教授 (10882342)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
|
Keywords | 歴史教育 / 日本史 / アジア史 / 教科教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、2編の論文(うち1編は査読あり、1編は査読なしかつ掲載決定済みで近日公開予定)を本研究に基づく研究成果として公開することができた。1編目の論文については、については、勤務先と関係の深い学会の発行する学術誌に掲載されたものであり、史料をもとにした探究学習の素材つくりの一環として、南北朝時代に「日本国王良懐」と名のる人物が明の初代皇帝である太祖(洪武帝)に送ったとされる文書が、日本地誌などに載って広く伝わり、さらに中国と対立する近隣諸国からの文書として引き写されていく過程を明らかにした。この研究成果は歴史資料がどのように書かれ、読まれ、伝わっていくかを探究する好個の素材となることが期待できる。もう1編の論文は、勤務先の教職課程年報に投稿したものである。高校生の歴史学習、なかでも日本史の学習が、令和4年度施行の高等学校学習指導要領によってどのように変わるか、その方向性を教職課程を履修している教員志望の学生への調査結果をもとに示したものである。調査は、歴史総合の教科書や平成29・30年度に実施された大学入学共通テストの試行調査および本試験の問題を実際に解いてみて、従来の歴史学習でこの試験に対応できるかや、今後教員となってこの試験が示す学力観に対応するためには、今後どのような知識・技能を習得しておく必要があるかをレポートしてもらった。調査の結果、大多数の学生は従来の歴史学習の限界を感じ、今回の指導要領改訂が示す歴史学習の変化の方向性を肯定的に評価していることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料収集や教材の開発、開発した教材に関する研究協力者との協議はほぼ完了した。研究年限を延長した理由は、開発した教材が学習者である高校生によってどのように受け止められるかの実地調査が、2020・21の両年度はコロナウィルス感染症の影響で難しかったためである。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については2点を考えている。 まずは、代表者が自ら、出張授業の形で高等学校を訪問して開発した教材を用いた授業を行い、生徒の反応を直接確認して改善に活かすこととである。2点目は本研究が開発する教材について歴史教育に関する研究会で報告を行い、その席で歴史学・教科教育の研究者や全国の高等学校の教員から意見・評価を得て、最終的な研究成果を作り上げていきたい。
|
Causes of Carryover |
研究代表者による高等学校への出張授業ならびに研究会での報告のための旅費と報告書の印刷費に使用予定です。
|
Research Products
(2 results)