2020 Fiscal Year Research-status Report
TPACKを基盤とした授業デザイン力向上のためのFDプログラム開発
Project/Area Number |
20K22224
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
阿部 真由美 早稲田大学, 大学総合研究センター, 助教 (80879875)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 教育工学 / 授業デザイン / FD / TPACK / 高等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2020年度から2021年度の2年間に渡る研究計画に則り、以下の3点を目的として進めている。(1)大学教員の授業でのICT活用状況を把握する。(2)大学教員のTPACK(Technological Pedagogical Content Knowledge)を測定するチェックリストを作成する。(3)これらの結果を踏まえてFDプログラムを開発し、前述の第二で作成したチェックリストを用いて効果を測定する。 この3点のうち、2020年度には(1)と(2)を実施した。(1)については、2020年8月に大学教員を対象としたアンケート調査を行った。2020年春学期の授業において、どのような科目でどのようなICTの機能を用いてどのような授業活動を行ったのかを尋ねた。また、(2)のチェックリストを作成して質問項目に加えた。さらに、教員の授業やICTに関する経験等がどのようにTPACKに影響を及ぼすかについても調べた。なお、TPACKを測定する方法はこれまでにもいくつか提案されているが、質問項目は時代の背景や教育の文脈に合わせたものである必要がある。本研究では、2020年度の新型コロナウィルス感染症拡大の影響による授業のオンライン化やその後のハイブリッド型授業の展開も見据え、大学教員がICTを用いてアクティブラーニングを実践するための知識を測る自己チェックリストを、TPACKのフレームワークにもとづいて作成した。 2020年度に進めた研究の成果として、まず2021年3月に第27回大学教育研究フォーラムにおいてアンケート調査の結果の一部を発表した。また、教員のTPACKに関する知識の実態やその知識を形成する要因等について分析した結果を論文にまとめ、学会誌に投稿中である。現在は、研究計画の3つ目の段階であるFDプログラムの開発と実施および効果検証に向けて準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画には、(1)大学教員の授業でのICT利用に関する実態を調べるためのアンケート調査、(2)TPACKチェックリストの作成、(3)(1)と(2)をもとにしたFDプログラムの開発と実践、の3点が含まれている。そのうち、(1)と(2)については2020年度に実行し、学会発表および論文投稿を行った。(3)については、当初の予定より少々遅れてはいるものの、2021年度9月にプログラムの実施を予定しており、現在はプログラムの開発と運営の調整を行っている。以上のように、研究計画はおおむね順調に進んでおり、今年度は(3)のプログラムの開発、実施、効果検証を実施したのち、本研究の成果をまとめて学会発表および論文投稿を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の2年目かつ最終年度に当たる2021年度には、研究計画の最後の段階であるFDプログラムの実践と効果検証に取り組む。現在はプログラムの開発を行いつつ実践の準備を進めているところであり、今後は所属大学の倫理委員会への申請と同委員会からの承認を経て、2021年9月にプログラムを実行する。プログラム実施後には参加者を対象にアンケートを中心とした効果検証を行い、その結果を2021年秋から冬にかけて学会の研究会および論文にて発表する。
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Causes of Carryover |
物品購入のために次年度助成金の一部を前倒し支払請求し、その支払請求額の残金が次年度使用額として計上されている。次年度には、当初の予定どおり、書籍等の物品購入および研究発表関連費用としての使用を計画している。
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