2021 Fiscal Year Research-status Report
小・中学校に在籍する発達障害のある児童生徒に対するセルフマネジメントの効果と維持
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20K22231
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Research Institution | The International University of Kagoshima |
Principal Investigator |
永冨 大舗 鹿児島国際大学, 福祉社会学部, 講師 (90881459)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 特別支援学校 / 特別支援学級 / 自閉症スペクトラム障害 / 知的障害 / 自己管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は特別支援学校に在籍する小学部の児童3名、小学校の特別支援学級に在籍する児童1名に対して、事例を検討することができた。 特別支援学校に在籍する児童については、いずれも望ましい行動を起こすきっかけとして教員の関わりや支援が必要な事例であった。1人目は昼休みが終わった後に教室に帰るためのきっかけとして、教員の声かけが必要であった。教室に帰った後の活動を視覚的に示すことで、教室に帰ることために要する時間が短くなった後、教員の声かけからタイマー音への変更を試みた。しかし、タイマー音が本児童にとって嫌悪的であったため、友だちからの声かけへと手続きを変更することで、教員の声かけを減らすことができた。2人目は授業中に教員との関わり、感覚刺激を得るために離席が多く見られる児童であった。教員との距離を離し、新たな感覚刺激を座席に置くことで離席が見られなくなった。3人目は要求行動として教員に対する攻撃行動や離席が見られる児童であった。望ましい要求行動として、イラストを示した絵カードを用い、要求、逃避の機能を持つ絵カードを渡すという行動を指導することで、攻撃行動や離席が減少した。 小学校の児童に関しては、指導として保護者が家庭で関わった。夕食前の片付けに時間がかかる事例であった。最初の段階としてタイマーを用いて見通しを持たせ、片付けができた時に本人の好きなシールをカレンダーに貼ることで片付けに要する時間を短くすることができた。さらに、タイマーが鳴った後への片付けの取り掛かりに保護者の声かけが必要であることが多いため、本人に4段階の目標を自分で設定させ、片付けの取り掛かりについて自己評価し、カレンダーに自己記録するように促した。その結果、保護者の声かけの必要もなく片付けを行うことができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度に入ってもコロナ感染の拡大状況が落ち着くことがなく、特に小学校・中学校での実践を行うことが困難になった。そのため、特別支援学校や家庭へと場面を変更し研究の実施を行っている。また、当初予定されていた、継続的な学校への訪問、行動観察はコロナ禍の状況下のために困難となり、主にメールやZoomを用いた連絡交換となった。これらの研究方法や手続きの変更のため、開始時期の遅れが生じてしまい、研究発表、論文投稿まで進めることが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、昨年度と同様に特別支援学校等で教員や保護者の関わり、支援が必要な事例に対して自身で行動を引き起こすことができるような環境設定やスキルの獲得を目指した事例を蓄積していきたい。同時に、2021年度に実施された事例について、学会発表や論文投稿へと進めていきたい。 また、当初予定されていた小学校、中学校での事例の募集を引き続き行っていきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ感染者が2021年度も増加傾向が見られ、児童生徒の分散登校、学校訪問の不可などの状況が継続した。そのため、研究方法の変更や新たな研究フィールドの開拓、研究実施の遅れが続いたため、学会発表、論文投稿まで進めることが困難であった。また、教員や保護者面談が困難となり、児童生徒の実態を把握するための検査の実施も困難であった。 2022年度では、2021年度にできなかった研究発表や論文投稿、個別検査の実施を行っていきたい。
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