2021 Fiscal Year Research-status Report
美術教育における性的マイノリティ当事者との協働によるプロジェクト型題材の開発
Project/Area Number |
20K22232
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Research Institution | Ashikaga Junior College |
Principal Investigator |
茂木 克浩 足利短期大学, その他部局等, 講師 (10885247)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 美術教育 / セクシュアルマイノリティ / 性の多様性 / 多様性教育 / 外部人材活用 / 図画工作科 / 課題解決型学習 / プロジェクト型学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、①学校現場における性の多様性に関する内容の取り扱いの実態とそれに関する教員の意識を明らかにするために、群馬県内の教員を対象に行った質問紙調査の分析。②性の多様性について考えるための美術科の授業題材の開発と実践。以上2つの事に主に取り組んだ。 ①群馬県内の小・中・高等学校13校に調査協力の依頼をし、そこに勤務する教員を対象に質問紙調査を行った。その結果、調査に参加した多くの教員が、学校の授業等の教育活動の中で、性の多様性について取り扱うべきだと考えていることがわかった。しかしその一方で、実際に授業で扱ったことのある教員は少ないことも明らかになった。その原因として、教員自身が性の多様性に関する知識不足を自覚しており、それによって生徒へ指導することに自信がもてないでいることがわかった。また性の多様性について取り扱うのに適した教科として、学活や道徳、総合、保健体育をあげる教員が多く、その他の教科で取り扱うというイメージがないこともわかった。 ②中学1年生を対象とした美術教育の題材を、セクシュアルマイノリティ当事者と協働で開発した。開発した題材では性の構成要素の中から「性表現」に注目した。また表現の手段として「ファッション」を扱うこととした。開発した題材は、実際に中学校の美術科の授業で実践した。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、当初の予定よりも実践開始が遅れてしまった。そのため実践の成果を分析するところまで至らなかった。 また群馬県内の高等学校において、有志で集まって性の多様性について勉強している生徒たち向けの実践も計画した。その実践を開始した直後に新型コロナウイルスの感染が拡大し、結果として休校等の措置が行われたことにより、実施が延期になってしまった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で授業実践の開始が、当初計画していた9月から11月に延期された。その結果12月末まで授業実施した。それにより、実践の成果についての分析を年度内に終了するのが難しい状況になった。それに伴い、開発した題材の修正や、その公開に向けての準備をすすめることができなかった。 高等学校での実践については、新型コロナウイルス感染の急拡大によって実践校が休校になってしまい、実施を再開できないまま年度末をむかえてしまった。 題材開発や実践の延期等への対応に予定よりも時間を割くこととなり、本年度追加で実施予定であった、美術教育と人権教育についての関連についての調査を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は終了しなかった下記の3つの事柄に取り組み、研究のまとめの年とする。 ①本年度すすめることのできなかった、学校での人権教育と性の多様性に関する内容との関係、美術教育と人権教育との関連について調査していく。 ②授業実践の成果について分析を行い、その結果をもとに題材の修正を行う。また開発した題材について、広く一般に公開していく方法を検討しそれを具体化する。 ③実施が延期になっている高等学校での実践を7月頃に再開する。実施後、その成果についても分析を行う。 次年度も引き続き研究成果については、口頭発表や論文の掲載を通して社会に発信していく。
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Causes of Carryover |
本年度は、本研究において開発した題材を広く知ってもらうための方法として、成果をまとめた冊子等の作成を検討していた。しかし当初の予定より研究が遅れているため、その制作までいたらず、結果として経費を使用しなかった。 次年度はその作成に経費を充てる予定である。また延期になっている実践を再開する予定でおり、その旅費、研究協力者への謝金、実践及びその記録に必要なメディア類、消耗品の購入を予定している。また成果発表に関わる諸費用への経費の使用、また追加で調査を行う予定の人権教育関係の文献等を追加購入する予定である。
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