2021 Fiscal Year Annual Research Report
国内大学生による短期留学の教育効果の測定に関する実証研究
Project/Area Number |
20K22239
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小林 元気 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 准教授 (10878143)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | グローバル・マインディッドネス / 短期留学 / IEOモデル / 留学のインパクト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、短期留学の効果を測定する汎用的な尺度指標として「グローバル・マインディッドネス尺度(以下、GMS)」を位置づけ、近年の短期留学の教育的効果を検証することを目的とする。対面の留学が制限される直前の2017年から2020年に国内4年制大学を卒業した全国の若年層2,500人に対して、日本人向けに修正したGMSを用いてインターネット調査を実施した。得られた知見は以下の2点である。 第一に、海外の先行研究において、GMSはCultural Pluralism、Efficacy、Interconnectedness、Responsibility、Globalcentrismの5因子で構成されたが、日本人若年層を対象とした本調査では、EfficacyとInterconnectednessは同一の因子を構成しており、4因子構造として把握された。各因子の信頼性係数は先行研究とおおむね整合的であり、GMSが日本人若年層のグローバル・マインドを計測する尺度として一定の有効性をもつことが示唆された。 第二に、本人の大学入学前の国際経験や、学部、入試難易度、性別、親の社会経済的条件や海外経験等の初期条件をコントロールしたうえで、国内大学在学期間の短期留学経験がGMSに影響を及ぼすかどうかを検討したところ、有意な正の効果がみられた。因子別にみてみると、留学経験がCultural Pluralism、Efficacy & Interconnectedness、Responsibilityに対して影響を及ぼす一方で、Globalcentrismに対しては有意な効果は存在しなかった。これらの結果は、たとえ3か月未満の短期間であっても、大学生の留学経験がグローバルマインドの醸成に具体的なインパクトを与えること、すなわち国内大学が実施する短期留学プログラムに教育的意義があることを裏づけている。
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