2023 Fiscal Year Annual Research Report
日本生まれの「外国人」の継承語教育とオールドカマーの民族教育の接続
Project/Area Number |
20K22255
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
薮田 直子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (00880105)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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Keywords | 継承語教育 / ニューカマー / 民族教育 / 地域教室 / ベトナムにルーツをもつ子ども |
Outline of Annual Research Achievements |
現在日本には「外国にルーツを持つ子ども」と呼ばれる子どもたちが学び暮らしているが、中には日本で生まれ育った2世以降の子どもたちもいる。かれら「日本生まれの子どもたち」には、どのような教育や支援が必要なのか。本研究では、地域で15年以上取り組まれている「継承語」教室を事例として取り上げ、質的データの収集を通じて2世以降の言語状況とその教育課題を考察した。主な研究実績は次の通りである。 まず調査の実績として、4年の研究期間で継続的な参与観察を実施した。具体的には2020年度に29回、2021年度20回、2022年度31回、2023年度は28回の計108回の現地調査実績がある。またこれまでの実践記録を分析することを通じて、2世以降の子どもたちにとっての地域継承語教育の重要性を探った。 つづいてインタビュー調査の実施がある。なぜ地域の継承語教育実践が長年継続できているのかということを解明するために、教室立ち上げ当初の地域スタッフや地域の外国にルーツをもつ子どもの状況について詳しい元公立学校教員、教室で実際に活動に参加した経験をもつ地域の青年に聞き取り調査を実施した。具体的には約9名から調査協力の承諾が得られ、個別に2時間から3時間程度の聞き取り調査を実施することができた。 上記の調査実績から得られたデータは、共著『草の根から「多文化共生」を創る』(2023年)に「文字につなぐ、世代をつなぐ」(pp.207-224.)としてまとめ、2度の実践報告も行った。他方、日豪の継承語教育の現状の比較考察を行い「移民背景をもつ子どもにとっての継承語教育の重要性」(2023年)として論考にもまとめた。 これらの調査によって、日本における継承語教育の実践の発信とその普及に寄与することができたと考えている。加えてニューカマー外国人の子どもを対象とした「適応指導・教育」の「その後」を考察することができた。
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