2020 Fiscal Year Research-status Report
An Empirical Study on the Reorganization Process of Local Educational Governance: A Case Study of Ena Area
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20K22259
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Research Institution | Tohoku Seikatsu Bunka Junior College |
Principal Investigator |
山沢 智樹 東北生活文化大学短期大学部, その他部局等, 講師 (60876861)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 学校づくり / 地域教育運動 / 地域に根ざした教育 / 生活綴方教育 / 教育ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍の影響により移動が困難となり、本課題開始以前までに収集した恵那教育会議および恵那地域における勤評闘争に関する資料のデータ化および整理に取り組んだ。資料整理と並行させて恵那教育会議および恵那地域における勤評闘争の展開に大きな意味を持つ、岐阜県教職員組合恵那支部の1957年方針に関する論文の執筆に取り組んだ。2021年度に追加の資料収集を行い、学会誌へ投稿する予定である。 また、戦後日本における教育と教育学、とりわけ生活綴方教育に関する実践記録、教育行政ならびに教育法に関する基本文献を収集した。文献の収集に関して2020年度は、先行研究に関する部分に重点を置いた。検討を通じた理論的知見から上記論文の執筆や、教育実践の検討は次年度の課題である。 その他、現代的な教育課題に関してコロナ禍における一斉休校問題について、「教育課程と指導計画を通じた学校づくり:幼稚園教育要領および学習指導要領の記述に着目して」『東北生活文化大学・東北生活文化大学短期大学部 教職課程センター報vol.5』2021年において、学校づくりの視点から検討し、学校の教育機関としての自律性の重要性を提起した。また、山﨑洋介・山沢智樹・教育科学研究会編『もっと! 少人数学級:豊かな学びを実現するためのアイディア』2021年、旬報社の「5章まとめ:よりよい未来の教育に向かって」で、2021年の学級編制基準の改正を機に、各学校の体制を見直すに当たり、子どもや保護者、地域住民を含めた地域的な論議の必要性を、学校づくりの視点から指摘した。2021年度は可能な限り、学校現場の参観など実地調査に取り組みたい。さらに、2020みやぎ教育のつどいでのシンポジウム「コロナ時代の子どもたち:教育はどうあればいいのか」では「コロナ禍での保育者の卵たち」と題して講演し、保育者養成の状況から保育現場におけるコロナ対応について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響により2020年度は、当初に予定していた岐阜県恵那地域における史料調査や恵那地域における教育運動の当事者へのインタビュー調査を実施することができなかった。また、参加や報告を予定していた各種学会や研究会の年次集会もその多くが中止となってしまった。そのため、予定していた教育関係者への聞き取り調査や他の研究者との研究会の機会を設けることにも一部、制約がかかった。しかし、本課題に取り組む以前から収集してきている資料の整理およびその分析に集中的に取り組むことができた。また、所属機関においても先行研究を手掛かりとした理論研究を進めることができるように、多くの資料を収集することができている。 岐阜県内の資料館や書庫への訪問調査に関しては再開の目途は未だついていないが、オンラインでの研究会の機会等を積極的に活用し、また、申請者自身も研究会を組織することで、先行研究者や全国各地の教員を中心とする教育関係者と議論することのできる状況を整備してきている。また、先行研究の検討に関しては、これまでに収集してきた文献の検討を中心に取り組むことができている。さらに、仙台市内、宮城県内の教育関係者から研究協力を得ることができる条件も2020年度のなかで整えてきた。新型コロナウィルス感染症の感染の状況を見ながら、宮城県内における調査や資料収集に取り組むことを新たに計画に位置付けたい。 しかし、新型コロナウィルス感染症の感染の状況次第では引き続いて、学校見学への訪問調査、学校関係者への聞き取り、研究会の開催が困難な状況が続く恐れがある。その場合には、先行研究検討による理論的研究の比率を大きくしたり、すでに収集してきた資料の整理から導かれる中間的な研究課題に取り組んだりするなどの若干の計画変更も検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は引き続き、戦後日本における生活綴方教育や地域に根ざした学校づくりに関する実践についての資料や先行研究の収集を続けて行っていく予定である。新型コロナウィルス感染症の感染状況によっては岐阜県恵那地域における資料収集や、首都圏や関西圏の学校への訪問調査、聞き取り調査も実施したい。訪問調査の実現が困難な場合には、Web会議等のシステムを用いての聞き取り調査の実施なども含めて検討したい。 戦後の教育および教育学に関する理論的な先行研究については、2021年度は着目する年代を1990年代以降に重点を置いていく。戦後日本における生活綴方教育や地域に根ざした学校づくりに関する実践について、本研究と同様に資料から分析を行っている先行研究における諸実践に対する評価について検討していく。 また、現在執筆に取り組み、可能であれば追加調査を予定している、岐阜県教職員組合恵那支部の1957年方針に関する論文を完成させ、学会誌へ投稿する予定である。その中間作業として学会や研究集会等における口頭発表を予定している。同時に、昨年度取り組んだ資料整理の成果は、今年度より数年にわたって複数の論考として学内の紀要等で発表していく予定である。 さらに、恵那教育会議を主たる対象とし、教育行政、学校運営、教育実践それぞれの自律性が確保されたうえで、一体的に展開(地域における教育ガバナンス)されるモデルの構築をめざす本研究をより発展的に継続させるために、2022年度からの科学研究費助成事業への応募と採択を目指して上述の学会誌、学内紀要への投稿以外にも、本研究課題として取り組んできた整理、分析作業のまとめおよび、次段階の課題の検討と設定を行う。その際には、今回の課題に当たって協力の承諾を得ている教育関係者に改めて協力の継続の依頼を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、当初予定していた岐阜県恵那地域への滞在を伴う現地における史料調査とインタビュー調査、また、首都圏や関西圏の学校をはじめとする教育現場への訪問調査および教育関係者へのインタビュー調査を一切行うことができなかった。それにより、次年度使用額が生じた。 そのため、感染状況を踏まえて状況が許せば、次年度に集中的に岐阜県恵那地域への滞在を伴う現地における史料調査とインタビュー調査、また、首都圏や関西圏の学校をはじめとする教育現場への訪問調査および教育関係者へのインタビュー調査を実施したい。引き続き実施が困難な場合には、Web会議等のシステムを利用しての調査を行うための設備を整える。Web会議等のシステムを利用しての調査が中心となる場合には、協力者の謝金の支払いのほかに、音声データにとしての資料収集が当初の想定よりも大幅に増えることが予測されため、文字起こし等に係る経費も大きくなることが予想される。そのための経費として使用していく。 また、音声データやWeb会議開催による映像データも多くなっている。そのため、当初に紙媒体や文書ファイルとしての保管を想定して利用していた機材では管理しきれなく恐れがある。そのための設備の充実も進めていく。
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Research Products
(3 results)