2021 Fiscal Year Research-status Report
ノルウェーの幼児教育における男女平等に向けたアファーマティブ・アクションの研究
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20K22260
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Research Institution | Felicia College of Childhood Education |
Principal Investigator |
松田 こずえ フェリシアこども短期大学, その他部局等, 講師(移行) (70884047)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 男女平等教育 / 保育者のジェンダーバランス / ノルウェーの幼児教育 / 幼児教育におけるICT / 公平な社会の実現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ノルウェーの幼児教育における男女平等社会実現に向けたアファーマティブ・アクションの内容と変遷、及び実践における具体的な取り組み や地域差を明らかにし、男女平等社会への変革が喫緊の課題である日本において、幼児期から男女平等意識を醸成する幼児教育の在り方への示唆を得ることである。 2020年度の研究に続き、2021年度はノルウェー(トロンハイムおよび、オスロ)での保育施設における現地調査や保育関係者に対するインタビュー調査に基づいた研究を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延予防の観点から、ノルウェー訪問は実施しなかった。したがって文献調査、および2019年の訪問時また、その後のメールによるインタビューのデータを分析することにより、以下の研究をすすめた。 ①ノルウェーにおけるICT教育における幼稚園と小学校との連携についての研究、②2019年~2020年にかけて実施したノルウェーの男性保育者と女性保育者へのインタビューの分析による研究、③日本の男性保育者へのメールインタビュー調査、④ノルウェーの幼児教育における親の保育参画に関する研究、⑤ノルウェーにおける子どもの権利の尊重に関する研究である。 研究の成果は、お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科の博士学位論文、国際幼児教育研究における研究論文等にて発表した他、日本保育学会第75回大会における口頭発表(オンライン開催)、ヨーロッパ幼児教育学会(EECERA)におけるポスター発表(オンライン開催)にて、発表した。 また、『国際幼児教育研究』Vol.27に掲載された論文「ノルウェーの保育のカリキュラムの改革動向―男女平等に向けた取り組みに着目して―」に対して、研究奨励賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度に実施した①ノルウェーにおけるICT教育における幼稚園と小学校との連携についての研究では、ノルウェーではICT教育が重要視されており、その実施に関しては幼児教育と小学校教育とで連携を取って行う必要があること、またICT教育において生涯にわたるICT活用の最初の段階としての倫理的リテラシーや公平性が重視されていたことが明らかとなった。②2019年~2020年にかけて実施したノルウェーの男性保育者と女性保育者へのインタビューの分析による研究では、性別役割につながるステレオタイプに対して、個人差による多様性および保育者の性別、年齢や入職に至る背景等からの影響が見られ、子どもたちが男女平等への公平な意識を持つようになるための実践の様子が明らかとなった。③日本の男性保育者へのメールインタビュー調査では、ノルウェーの保育者との、子どもの幼児教育における平等への意識における共通点と差異についての知見が得られた。③ノルウェーの幼児教育における親の保育参画に関する研究では、ノルウェーでは親を保育におけるパートナーとして捉え、そのことが教育要領においても規定されていることが明らかとなった。④ノルウェーにおける子どもの権利の尊重に関する研究では、子どもオンブズマン制度における国・自治体の取り組みや、子どもの権利条約批准後のノルウェー国内における議論の深まりについて明らかにした。 これらの研究の結果として、ノルウェーの幼児教育は、男女平等に限らず、子どもたちの公平性への意識の醸成に向けた実践が目指されており、子どもの意見表明権や社会への参加を重視した取り組みが実施されていると考えられた。 現時点までの研究成果をまとめたものは、2021年度お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科の博士学位論文『ノルウェーの幼児教育における公平な社会に向けた取り組みに関する研究』として受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度までの研究を踏まえ、ノルウェーの幼児教育における公平性についてさらに検討していく。保育者のキャリアアップシステムや、保育者の個々のキャリアパスについて研究し、当初の研究計画における研究③幼児教育における男女平等の地域差、運営による差の検証を、文献調査と幼児教育関係者へのインタビュー調査により、明らかにすることを予定している。 現地調査のためにノルウェー(トロンハイム、オスロ)を訪問し、保育者など幼児教育関係者へのインタビュー調査を予定しているが、新型コロナウイルス感染症の影響により実際の訪問が難しい場合には、さらに多くのノルウェーの政府機関発行の資料をみることにより文献調査を拡充し、研究の深化を試みる。 これらの研究の結果は、日本保育学会での学会発表および、国際こども教育学会、日本保育学会等への論文投稿を予定 している。
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Causes of Carryover |
当初の計画と比較して、使用額に差が生じた理由は、以下のとおりである。当初は2021年にノルウェーでの現地調査を行い、ザグレブでのEECERA(ヨーロッパ幼児教育学会)会議等に参加することを想定し、旅費を予算化していた。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行の影響により、現地での調査を延期した。また、各学会もオンライン開催のため、予定していた学会参加のための旅費交通費の使用がなかった。 したがって、本研究に関する2021年度までの研究期間を2022年度まで延長を申請し、承認された。 2022年度に計上された予算は、新型コロナウイルス感染症の状況が落ち着き、現地調査や国際学会の調査に行かれる場合には、その費用とする。状況によって、現地調査や国際学会への参加ができない場合には、ノルウェーの幼児教育について文献研究をさらに進めるための資料や論文投稿のための費用とする予定である。
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Research Products
(4 results)