2022 Fiscal Year Annual Research Report
ノルウェーの幼児教育における男女平等に向けたアファーマティブ・アクションの研究
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20K22260
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
松田 こずえ 武蔵野大学, 教育学部, 講師 (70884047)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 男女平等教育 / 保育者のジェンダーバランス / ノルウェーの幼児教育 / ジェンダー平等 / 男性保育者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度の研究成果は、主に以下の2点である。 (1)ノルウェーの男性保育者へのインタビュー調査研究によると、男性保育者が様々なキャリアパスを辿って保育者になり、幼児教育における男女平等の推進役としての意識を持つかどうかについては個人差が大きく考え方や価値観が多様であることが示された。(2)ノルウェーの保育者のキャリアアップシステムに関する研究からは、経験年数と立場の異なる保育者が、それぞれの状況に応じて保育の専門性を高めるためのシステムが整えられていることが示された。 研究期間全体を通し、以下の3点が明らかとなった。 (1)本研究の対象としたノルウェーは、1970年以降に男性優位の保守的な社会からジェンダー平等社会へと変化を遂げた。その変革の過程では、労働政策、経済政策だけでなく、子どもや幼児教育への着目があり、男性保育者を増やすための予算の計上など、幼児教育において公平な社会を実現するための多くの政策上の取り組みがあった。(2)発行年の異なる幼児教育カリキュラムに記載された内容を通時的に検討したところ、ノルウェーでは、幼児教育には公平な社会の実現のために果たすことのできる役割があり、就学前の幼児期から、公平な社会に向けた意識醸成のための教育的な取り組みをする必要があると考えられていた。(3)ノルウェーでは、子どもを公平な社会の創り手、担い手とみる視点があり、子どもだけでなく保育者および保護者の権利を尊重し、ジェンダー平等や多様性を尊重する社会を保育施設というコミュニティーの中で作り出すことが重視されていた。 本研究の意義は、これまで日本において十分に関心が払われてこなかった幼児教育におけるジェンダー平等教育や多様性の尊重に向けた教育の具体的な内容について、先駆的な取り組みをしているノルウェーからの示唆を得られた点にある。
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Research Products
(3 results)