2023 Fiscal Year Annual Research Report
自閉スペクトラム症児が日常生活で表出する表情:表情の形態的特徴と表出状況の解明
Project/Area Number |
20K22278
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Research Institution | Matsuyama Shinonome College |
Principal Investigator |
鏡原 崇史 松山東雲女子大学, 人文科学部, 准教授 (00880204)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 表情 / 感情 / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、自閉スペクトラム症児(以下、ASD)が日常生活で表出する表情及び障害のある子どもを取り巻く教育環境について明らかにすることを目的としている。新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴うマスクの着用により、教育現場における表情の撮影が困難となったため、一部研究計画を変更し、障害のある子どもを取り巻く教育環境に関する研究課題及び、日常を想定したコミュニケーション場面におけるASD児・者の表情表出に関する研究課題を実施した。 第1の研究課題として、教師・保育士を目指す大学生を対象として障害児・者に対するイメージについてアンケート調査したところ、障害児・者に対するイメージの得点は先行研究の値より高く、教師や保育士を目指す学生は、障害児・者に対して肯定的なイメージを抱いていることが明らかとなった。さらに、障害児・者と接することに対する不安は、障害児・者と接する経験をすることにより軽減することが明らかとなった。第2の研究課題として、小学校の通常の学級において、授業中に離席や電子黒板を勝手に操作する等の行動がみられる児童に対して、授業映像の視聴による授業の振り返りを通した授業・学級環境の改善に関する実践を行った。その結果、離席等の行動が減少し、教師が自身の授業映像を視聴する方法は、授業・学級環境の改善に寄与することが示された。第3の研究課題として、ASD児・者が他者と会話している際の笑顔の表出について分析を行ったところ、定型発達群と比較して、笑顔を表出したASD群の参加者が少なく、一方で、笑顔の表出が確認されたASD児・者の表情の強度は、定型発達者と同程度であることが明らかとなった。
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