2021 Fiscal Year Research-status Report
拡散過程の特異な時間変更に付随する自己共役作用素と熱核に関する研究
Project/Area Number |
20K22299
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松浦 浩平 筑波大学, 数理物質系, 助教 (90874355)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
|
Keywords | 時間変更 / レゾルベント / ヘルダー連続性 / 強フェラー性 / 反射壁ブラウン運動 / 一意拡張性 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度はd次元ブラウン運動の時間変更過程について研究した。具体的には、時間変更過程に付随するレゾルベントの空間変数に関するヘルダー連続性を調べ、その指数の定量評価を得た。今年度は、この結果をまとめた論文を執筆するとともに学術誌への掲載を決定させた。
レゾルベントのヘルダー連続性に関する結果を半群や熱核の場合に拡張することはできなかったが、これに深く関連する問題として、一般のマルコフ過程に対するレゾルベント強フェラー性を半群強フェラー性に拡張する研究を行った。これは、桑江一洋氏 (福岡大学)と楠岡誠一郎氏 (京都大学)との共同研究であり、昨年度から継続して行ったものである。その結果、マルコフ半群がLp空間上で解析的になる設定の下、レゾルベント強フェラー性を半群強フェラー性に拡張するための十分条件を与えることができた。拡散過程を含む広いクラスの確率過程に対しては、レゾルベントに対する局所的な超縮小性がその十分条件となる。この条件は主に解析半群の理論から導出され、時間変更過程とも相性が良いこと分かった。この結果についても論文を執筆し、学術誌への掲載を決定させた。
非有界閉領域上の時間変更した反射壁ブラウン運動の一意拡張性についても研究を進めた。前年度は、slab領域という具体的な領域の設定において、ある変数変換が有効であることが分かった。この変数変換により、slab領域の場合の一意拡張性の問題は、strip領域上のドリフトをもつ反射壁拡散過程の一意拡張性の問題に置き換えることが出来る。今年度は、そのドリフト項の定量評価の研究を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
d次元ブラウン運動の時間変更過程に付随するレゾルベントのヘルダー連続性に関する論文を執筆し、学術誌への掲載が決まった。また、桑江一洋氏と楠岡誠一郎氏との共同研究でレゾルベント強フェラー性から半群強フェラー性を得るための十分条件を導出することができた。本研究課題では、時間変更過程の熱核の連続性を定量的に調べることが目標の一つであったが、今回の共同研究はそれに深く関連するものである。これは本研究課題の開始時点では全く想定していなかった進展であり、共同研究に関する論文の掲載まで決定させることができた。反射壁ブラウン運動の一意拡張性については十分な結果が得られていないが、全体的には順調に研究が進んだと思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
時間変更したd次元ブラウン運動について、そのレゾルベントのヘルダー連続性から半群のヘルダー連続を導く。レゾルベントと半群の関係について深い考察が必要であると考えられるが、前年度に引き続き、解析半群の理論を用いて問題解決にあたる。反射壁ブラウン運動の一意拡張性については、変数変換から生じるドリフトの定量評価に関する研究を進める。
|
Causes of Carryover |
国内外の大学で研究打ち合わせや研究発表の予定があったが、新型コロナウイルスの影響でそれが出来なくなり、旅費や人件費を使用する機会が全くなかったため。2022年度は対面での研究会が多く行われる予定である。次年度使用額は、その研究会への参加旅費や、研究に必要な書籍とパソコン関連機器を購入するために使用する。
|
Research Products
(7 results)