2023 Fiscal Year Annual Research Report
圧縮性流体方程式におけるパターンダイナミクスの数理構造の解明
Project/Area Number |
20K22308
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
寺本 有花 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 助教 (60883262)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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Keywords | 圧縮性流体方程式 / パターンダイナミクス / liquid crystal |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,流体力学の基礎方程式である圧縮性Navier-Stokes方程式を始めとする準線形双曲-放物型方程式系におけるパターンダイミクスの数理構造の解明とその解析手法の確立を目的としている. 圧縮性Navier-Stokes方程式のような散逸構造を持つ双曲-放物型連立方程式系に対しては方程式の持つ双曲型の側面により,放物型方程式に対して確立された解析手法が有効でないため,手法の開発と数理構造の解明が望まれている.本研究では,それらの理論の準線形双曲放物型方程式系への拡張を行うことを目的とした. 研究期間全体を通して,異方的性質を示す圧縮性流体,liquid crystalについての研究を行った.Ericksen-Leslie systemは流体の方程式に加えて,流速と棒状分子の配向方向との非線形相互作用の影響を考慮した方程式系である.その中で,等温条件下での解析は多く行われているものの,圧縮性かつ温度を変数として方程式に組み込んでいるものは少ない.本研究では非等温状態で,ある種の簡易化を施されたEricksen-Leslie systemの無限層状領域上での解の存在と減衰評価及び,漸近挙動を導出した.静止定常解周りの摂動が時間無限大で減衰していく際に,主要部として低周波部分が現れ,その減衰のオーダーは2次元熱核と同等のものであるということが分かった.今回の結果は,放物型方程式系に対して確立されている空間周期的進行波の変調ダイナミクスの解析を,圧縮性Navier-Stokes方程式へと拡張する手掛かりになると考えている.
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Research Products
(2 results)