2023 Fiscal Year Research-status Report
特異点のCox実現に付随する不変Hilbertスキームの研究
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20K22313
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
久保田 絢子 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (50875408)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2025-03-31
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Keywords | 不変ヒルベルトスキーム / 特異点解消 / コックス環 / 冪零軌道 |
Outline of Annual Research Achievements |
代数多様体の簡約代数群の作用による幾何学的不変式論商は、もとの多様体が滑らかであっても一般に特異点を持つ。本研究の主な対象である不変ヒルベルトスキームは、自然な射(ヒルベルト・チャウ射)によって商多様体の特異点解消の候補となることが知られている。ヒルベルト・チャウ射はその構成の仕方により、特異点の商多様体としての表し方に依存する。そして、表し方を変えればそれに伴い対応するヒルベルト・チャウ射の挙動が変化する可能性がある。そのため、「特異点を商多様体として記述する方法の中で、付随するヒルベルト・チャウ射が良い双有理変換となるようなものは何か」という問いは自然である。 本研究では、特異点をそのコックス環のスペクトラムの準トーラスの作用による商として記述する方法(これは、コックス実現と呼ばれる)に着目し、それに付随するヒルベルト・チャウ射が特異点解消を与えるかを問うた。そして具体的には、A型の冪零軌道閉包のいくつかの場合に対しそのコックス実現に付随するヒルベルト・チャウ射を調べ、シュプリンガー解消と比較することで不変ヒルベルトスキームの幾何学的構造を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
A型冪零軌道閉包のコックス実現に対応する不変ヒルベルトスキームの計算に対し、冪零軌道の分割型に依存しない方法での証明を試み、その方向性にある程度の進展があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
A型冪零軌道閉包のコックス実現に付随する不変ヒルベルトスキームの幾何学的構造を、分割型に依存しない方法で与えることを目標とする。そのためにまず、いくつかの具体的な場合に対し分割の情報を使って計算し、一般の場合の予想を立てる。そして、コックス環の生成元およびそれらの間の関係式を決定し、その次数環としての構造および表現としての構造を見ることでヒルベルト・チャウ射とシュプリンガー解消の比較を行い、不変ヒルベルトスキームを決定できないか試みる。
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Causes of Carryover |
感染症の影響により、当初参加を予定していた学会等がオンライン開催に変更になったため。
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