2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K22314
|
Research Institution | Ibaraki National College of Technology |
Principal Investigator |
竹井 優美子 茨城工業高等専門学校, 国際創造工学科, 助教 (20879746)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
|
Keywords | Voros係数 / 自由エネルギー / 量子化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は微分方程式の大域解析において自由エネルギーの役割を明確にすることが目的であり、微分方程式系における自由エネルギーの役割を明確にするために2変数超幾何微分方程式系を考察している。今年度は2変数超幾何微分方程式系の一つである(2,3)-超幾何微分方程式系の第2変数への制限から得られる3階常微分方程式について考察し、次の結果が得られた。 Voros係数と自由エネルギーの間に成り立つ関係式の導出を行った。Voros係数はStokes現象を記述する際に用いられる完全WKB解析において非常に重要な量であり、得られた関係式は自由エネルギーが解の大域挙動を記述する際に重要な量であることを示唆している。 得られた関係式から自由エネルギーの満たす差分方程式を導出し、自由エネルギーの明示公式を得た。その際に、自由エネルギーが第1変数に由来するパラメータに依存しないことを示した。 さらに上記の二つの結果からVoros係数の明示公式も得た。こちらも第1変数に由来するパラメータに依存しないことが言えた。 今回考察した(2,3)-超幾何微分方程式系は、第1変数への制限から得られる3階常微分方程式についての結果は、現在までの研究で既に得られており、今回の結果により二つの結果を比較することが可能となった。今後の研究でこれら二つの方程式の自由エネルギーの関係について考察し、微分方程式系との関係も明らかにしていきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2変数超幾何微分方程式系の中で結果がまだ得られていない(1,1,1,1,1)-超幾何微分方程式系については、量子化を行う際に課されている仮定"admissibility"を満たしておらず、別の方法で量子化を与える必要があるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
2階常微分方程式であるGaussの超幾何微分方程式の量子化から(1,1,1,1,1)-超幾何微分方程式系の量子化を考察する。(1,1,1,1,1)-超幾何微分方程式系の量子化を基に、最終的には2階常微分方程式のRiccati方程式に対応する方程式と位相的漸化式を比較することにより、"admissibility"を満たさない3階常微分方程式についても量子化を与える。
|
Causes of Carryover |
オンラインでの開催となった研究集会があったため、次年度使用額が生じた。研究打ち合わせの際の旅費として使用する予定である。
|