2020 Fiscal Year Research-status Report
Re-Os分析と統計解析による「第5の海底鉱物資源」の成因解明
Project/Area Number |
20K22333
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
矢野 萌生 千葉工業大学, 次世代海洋資源研究センター, 主任研究員 (30880281)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 黒色頁岩 / 黒色泥 / 海底鉱物資源 / Re-Os分析 / 多変量統計解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,マルチコレクタ誘導結合プラズマ質量分析(MC-ICP-MS)を用いた簡便なレニウム―オスミウム(Re-Os)分析法を確立すると共に,古生代から現世に堆積した黒色頁岩・黒色泥のRe-Os分析の結果を従来のデータセットと統合し,その包括的な特徴把握を行い,貧酸素環境における堆積物のレアメタル元素の濃集メカニズムを明らかにすることを目的とする.令和2年度には,有機物に富む堆積物のRe-Os分析における酸分解の方法について検討を行った.まず2種類の標準試料に対して分解に使用する酸の量と種類を変えて分析を行い,分解における適切な条件を検討した.さらに現世黒色泥の一部試料について,予察的にRe-Os分析を行った. その結果,全有機炭素量の多い試料のOs分析については,従来用いられている,試料を分解するために逆王水を加える方法では試料の酸化が十分に行われてないのに対し,今回新たに行った,分解に過塩素酸を加える方法では十分に酸化が行われるため有効であることが明らかになった.またRe分析については,分解の際に加える酸の量や種類は,結果に大きく影響しないことが明らかになった.これらの情報は,Re-Os分析法を確立し今後現世の黒色泥試料について大量のRe-Os分析データを取得する上で,重要であると考えられる.さらに現世の黒色泥試料にはReが高い濃度で含まれ,これらは本研究で提案している「還元的な泥資源」として,検討を行う対象として適切であると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的を達成するための第1段階である,酸分解法の検討を行い,MC-ICP-MSを用いた簡便なRe-Os分析法を確立するための知見が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は現在までに行った酸分解法の検討を踏まえ適切な酸の種類・量を決定した上で,それらを現世の黒色泥試料に適用しRe-Os分析データを取得する.それらの結果を統合し貧酸素環境における堆積物のレアメタル元素の濃集メカニズムを明らかにすることを目指す.
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の蔓延により国際学会がオンライン開催となり,旅費として計上していた額を使用しなかったため,次年度使用額が生じた.翌年度,物品費・消耗品費として使用する予定である.
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