2020 Fiscal Year Research-status Report
pH振動反応場におけるpH応答性油滴の自律運動に関する研究
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20K22335
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| Research Institution | Doshisha University |
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Principal Investigator |
岡本 泰直 同志社大学, 研究開発推進機構, 助手 (90876632)
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| Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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| Keywords | アクティブマター / ソフトマター / pH応答性油滴 / 界面活性剤 / 振動反応 / マランゴニ効果 / 非平衡現象 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
界面張力依存性がオレイン酸油滴とは異なる界面活性剤①を用いると，pH振動反応場において界面活性剤①の油滴は往復運動や並進運動を示した。この原因を検討するために，様々なpH場に油滴を設置すると油滴は，同様に往復運動や並進運動を示すだけでなく，小滴に分裂する挙動も見られた。また，往復運動が見られた系で運動空間を制限すると，往復運動は見られなくなり，並進運動となった。界面活性剤①の油滴は，単純なpHに依存するのではなく，pH場を形成する化学種によってこのような状態の変化を示すことが分かった．また，これらの結果から，pH振動反応の油滴運動における役割とこの油滴の運動メカニズムを考察した。
別の界面活性剤②をpH振動反応場に導入するための検討を行った。界面活性剤②は非定常なpH勾配下において爆発的に運動した後，元の場所に戻る挙動を示した。この現象のメカニズムを検討するために，界面活性剤②の表面張力測定，対照実験，および，界面活性剤②近傍のpH測定を試みた。表面張力については，オレイン酸とも前述の界面活性剤①とも異なるpH依存性があることがわかった。対照実験では，界面活性剤②がない場合でも類似した運動が見られた。しかし，運動の持続性は，界面活性剤②を含む系では，より高いことがわかった。また，対照実験から界面において表面流が発生している様子も見られた。pH測定に関しては，指示薬の呈色がわずかに見られたことから，系内にpH勾配ができていることが確認された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
界面活性剤①については，わずかなpHの違いによって運動モードが変化することが分かったため，振動反応場におけるこの油滴の運動は純粋なpH勾配に依存しうるといえる．現在は，運動モードが変化するときの油滴の内部および外部の対流の観察を行っており，この結果からメカニズムをまとめ，論文投稿する予定である．
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| Strategy for Future Research Activity |
界面活性剤①については，運動モードが変化時の対流の様子からメカニズムを明らかにする．また，pH振動反応下での実験データからpH振動反応の役割を明らかにする．令和三年度は本研究課題の最終年度であるため，これらの結果を学会発表や論文投稿の形でまとめる予定である．
界面活性剤②については，油滴としての導入は困難であったがアクティブマターとして特異な現象がみられたため，詳細な解析を行いメカニズムの解明を試みる．
他の界面活性剤については特定のpH場での運動が観察できているため，pH振動反応場へ導入し，その挙動を観察・解析する．
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