2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K22336
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Research Institution | Yonago National College of Technology |
Principal Investigator |
白石 僚也 米子工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (20780084)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | プラズマ / 水素 / 再生可能エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は, 実験系の基礎となる狭小断熱反応炉を設計・作製した. また安全のために, 反応炉周りの酸素を窒素で置換するための容器を作成した. その後簡単のため, キャリアガスを窒素, 液体原料をメタノールとし, 放電可能な条件を調査した. 20 kV の誘電体バリア放電を用いた場合, プラズマを発生させることができ, 水素ガスを生成できた. しかしながら, 生成された水素は微量であり, また, 時間とともに電離度が上昇して大電流が流れるとすぐに過電流となり, 電源が停止してしまった. そこで, より大電流を流すことができる別の電源を用意し, 4 kV の直流パルス電圧を印加した. その結果, 4kV, 19 kHz, 1 us 付近の条件で安定的にプラズマを維持し, 連続的に水素を生成できることがわかった. 次に上記の条件を元にキャリアガスをメタン, 液体原料をn-ドデカンとしてプラズマ分解による水素製造実験を行なった. その結果, メタン/n-ドデカンの場合でも連続的に水素が生成できた. また, メタン/n-ドデカンの場合は火災爆発の危険が考えられるが, 置換システムが上手く機能し, 安全に実験できることが確認できた. しかし, 水素製造効率はまだ 0.1 Nm3/kWh 程度であり, 目標効率の1/10にも達していない. しかしながら, 当初計画したメタン/n-ドデカンの系で水素製造に成功したことは重要な成果であると考えている. 今後は実験条件を最適化することで目標達成できると考えている. 水素製造効率が悪い原因として, 反応炉断面積が広く, 原料流の断面全域をプラズマ化できていないことが考えられる. プラズマ化されていない領域はプラズマから熱を奪い, 効率を悪化させる. 今後は反応炉の内径を 2 mm 程度(現在は 10 mm) とし, 実験を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「狭小断熱反応路を用いてメタンガス/n-ドデカンの混合流体をプラズマにより分解して水素を生成する」という当初の基本計画は実現できた. 今後は原料流量, 反応炉断面積, 電圧, 周波数などの各種条件の影響を調査し, 最適化を行う段階に入る. これには3ヶ月~半年を要すると考えており, 令和3年度中に目標効率を達成できると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ, 「狭小断熱反応路を用いてメタンガス/n-ドデカンの混合流体をプラズマにより分解して水素を生成する」という当初の基本計画は実現できた. しかしながら, まだ目標水素製造効率は達成できていない. 今後は現行装置を用いて実験条件の最適化を図る. 効率化のために最も重要な要素と考えられるのは反応炉断面積である. 現在は電極間距離 1 mm に対して反応炉断面積が広く, 原料流の断面全域をプラズマ化できていない. プラズマ化されていない領域はプラズマから熱を奪い, 効率を悪化させる. 今後は反応炉の内径を 2 mm 程度(現在は 10 mm) とし, 実験を行う. また, 原料流量, キャリアガスと液体原料の混合率, 電圧, パルス幅などの条件が効率に影響すると考えられ, これらの条件の影響を実験的に調査し, 最適条件を明らかにする. さらに, 高電圧プローブとパルスCTを用いて電流電圧特性を計測し, 正味の投入電力を明らかにする. これらの対策により, 本年度内に目標効率を達成できると考えている.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は, 電流電圧特性を測定するための高電圧プローブ, パルスCT, オシロスコープのセット(約50 万円)を購入しなかったためである. これは実験方法の基礎が固まり, ある程度電流電圧条件が決まらないと物品を決定できなかった. 現在は物品を決定し, 発注している. また, 翌年度分として請求した助成金の使い道としては, 実験に使用するメタン, 窒素, アルゴンなどの高圧ガス, アルコール, n-ドデカンなどの試薬, 実験装置を改造するための材料費(テフロン, 配管部品, 金属棒など)および, 学会発表, 論文出版のための費用である.
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Research Products
(1 results)