2020 Fiscal Year Research-status Report
Advanced speciation method for Iodine-129 in the terrestrial environment
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20K22337
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
本多 真紀 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 安全研究・防災支援部門 安全研究センター, 博士研究員 (80881432)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | I-129 / 水試料 / スペシエーション / 紫外線分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
核燃料サイクルの活動に伴いI-129は今後も施設から放出され続け、地表環境中に蓄積する。そのため、I-129の移行挙動に関する長期的な研究が必要である。地表環境中でのI-129の移行挙動はその物理化学的形態に支配されるが、環境試料を分析した研究例は国内では非常に限定的である。本研究課題ではI-129濃度が比較的低いために分析が難しい河川水及び地下水中のI-129を対象とし、逐次濾過と紫外線照射を組み合わせた新しいスペシエーションの手法を確立する。水中を流れているI-129の実態により則するために、本研究課題では独自に次の3つに分類する:サイズが0.45μm<S<2 mmの浮遊物 (Seston) と結合しているI-129 (0.45μm<S<2 mm I-129)、10 kDa<S<0.45μm I-129、10 kDa<S+イオン。各画分のI-129の割合を評価するにあたって必須なことは、水試料中の全I-129 (浮遊物I-129+イオン) を定量することである。これには、高温で加熱し水試料を蒸発させる手法の他に、紫外線で有機物を分解する手法 (紫外線照射法) が適応できる可能性がある。R2年度は、模擬水試料の紫外線照射試験を実施し、この手法が適応可能であると判断した。また、一部の溶存有機物は未分解であったことと、より短時間で溶存有機物を分解するために、紫外線ランプの出力がより高い装置が必要であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度において、有機物とヨウ素量既知の水溶液を水銀ランプ出力40Wの装置で照射したところ、照射時間1時間で大部分の溶存有機物が分解される一方で、ヨウ素の揮発量は僅かであった。これにより、紫外線照射法は水試料中の全ヨウ素の定量に適応できることが分かった。当初の研究計画では、令和2年度に環境試料で試験測定を実施する予定だったが、最適な環境試料の手配に時間を要したこと及びI-129測定を実施予定だった加速器質量分析装置を有する施設において、新型コロナウイルス感染症の感染予防の観点から利用が制限され、予定どおりに試験測定を実施できなかったことから、やや遅れている。と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度においては、より短時間且つ溶存有機物の100%分解を目指して、水銀ランプ出力を110Wに上げた装置を新規購入する。令和3年度からは、紫外線照射後の溶液をサイズ排除カラムで分析することにより、分解した溶存有機物由来の小さな分子量のフラグメントがどの程度残るのかを確認する。また、地下水、河川水の測定 (本測定)が実施できるように早急に分析条件を決定し、試験測定を実施する。加速器質量分析による試験測定は令和3年6月を予定し、この試験測定で得られた結果を基に、分析手法の問題点を抽出して問題点の解決を図る。本測定で使用する河川水、地下水の採取は令和3年8月を予定しており、分析した成果は、令和3年度内に報告することを目指す。
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Causes of Carryover |
令和2年度に購入した実験用物品等について、当初予定していた価格との差額が出たことにより、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、令和3年度分経費と合わせて、令和3年度に予定している出張に係る費用として使用する。
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