2023 Fiscal Year Annual Research Report
Application of quantum computing for particle physics event generators
Project/Area Number |
20K22347
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯山 悠太郎 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (10878177)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
|
Keywords | 量子コンピュータ / 素粒子物理 / 場の量子論 / 量子シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、前年度から引き続き、参考文献[1]に基づいた、粒子散乱現象の量子コンピュータ上でのシミュレーションに取り組んだ。具体的には、粒子ベース符号化という手法で量子場の状態を量子コンピュータ上に表現し、その相互作用を含めた時間発展を量子回路で再現するための理論的枠組みや量子ゲート実装について考察した。 その結果、空間1次元のスカラー場という場の量子論として最も簡単な系について、参考文献中で行列計算により算出された内容を、量子コンピュータで原理的に実行可能な量子回路を用いて再現することに成功した。また、参考文献で提唱されている実装手法を部分的に更に効率化できることを発見した。量子回路の実行には主に古典コンピュータ上の量子計算エミュレータを用いた。現行の量子コンピュータ実機ではゲートのエラー率が高く、論文の内容と比較可能な精度でシミュレーションを行うことが困難であるため、実機の利用は限定的にとどめた。 空間次元については、参考文献で1次元しか扱われておらず、その結果との比較のために我々も1次元から出発した。しかし粒子ベース符号化では多次元化が容易であるので、1次元での実装可能性が確認できた後、次元の拡張に取りかかった。 また、スカラー場はボソン系であるが、ディラック場などのフェルミオン系の符号化については未知の部分があり、その開発にも着手した。これらの課題は科研費研究課題24K07042に引き継がれる。 [1] Barata et al. Physical Review. A 103 (4): 042410.
|
Research Products
(1 results)