2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study of the cosmic-ray acceleration and propagation with the direct observation of high-energy galactic cosmic-rays
Project/Area Number |
20K22352
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
赤池 陽水 早稲田大学, 理工学術院, 主任研究員(研究院准教授) (70726744)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
Keywords | 銀河宇宙線 / 宇宙線電子 / 近傍加速源 / 銀河内伝播 / 暗黒物質 / 国際宇宙ステーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、荷電粒子観測による初めての宇宙線加速源の同定と宇宙暗黒物質の間接探索を目的として、国際宇宙ステーションに搭載した宇宙線観測機CALETの観測データを基に10 TeV領域に至る精確な宇宙線電子のエネルギースペクトルの導出を目指すものである。CALETは2015年10月から観測を開始し、2021年末までに6年以上の安定的な長期間観測を継続している。宇宙線電子成分の精確な測定のためには、電子の1000倍以上存在する陽子との選別性能の向上と、仔細なエネルギー較正が不可欠である。本年度は、これまでに選別した3 TeV以上の電子候補の各イベントについて、シミュレーション計算を基にLikelihoodやBDTによる多変量解析から電子らしさを評価し、粒子選別性能の向上を図った。また6年間の観測量に基づく5 TeVまでのエネルギースペクトルを導出し、この成果を宇宙線国際会議にて発表した。 並行して行なった原子核観測では重い原子核である鉄とニッケルのエネルギースペクトルを導出した。これらのエネルギースペクトルは、陽子や炭素、酸素などの軽原子核で見られる数100 GeV/n領域のスペクトル硬化の兆候は存在せず、単一のべきであることが分かった。また鉄のニッケルのスペクトル比は一定であり、類似した加速・伝播機構を示唆しているものと考えられる。これらは軽核のスペクトルと合わせて理論モデルの構築に重要な基礎データとなる。この成果はそれぞれPhysical Review Letters誌から発表した。
|
Research Products
(14 results)