2020 Fiscal Year Research-status Report
Studies on electron acceleration and multiplication in lightning by a ground-based array of small dosimeters
Project/Area Number |
20K22354
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
和田 有希 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 基礎科学特別研究員 (40879144)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 雷放電 / 雷雲 / 線量計 / 地球ガンマ線フラッシュ / ガンマ線 / 電子加速 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では北陸地方の日本海沿岸部で発生する冬の雷に着目し、雷放電から放出されるガンマ線である「地球ガンマ線フラッシュ」を観測することで、雷における強電場領域がどのように電子を相対論的なエネルギーまで加速・増幅しているか、を明らかにする。北陸冬季雷は雷雲の発達高度が低いため、発生したガンマ線が大気による減衰をあまり受けずに地上に到達するため、地上観測の絶好のターゲットである。2020年度はガンマ線を観測する小型の線量計の開発に着手した。線量計の基礎設計を行い、プラスチックシンチレータと光電子増倍管を組み合わせることに決めた後、電子回路系基板を設計、プロトタイプの制作を行った。制作したプロトタイプについては放射線源やLEDなどの照射による性能評価を行った後、改良に向けた開発や試験などを進めた。 また石川県金沢市を中心にガンマ線検出器の2020年度の設置を進め、2020年11月以降に観測を開始しており、観測データの蓄積を進めた。加えて雷放電の種となる雷雲から放出されるガンマ線の事象についても解析を進め、雷放電の観測ネットワークや国土交通省のXバンド気象レーダー、降水粒子判別器などのデータを比較することで、雷雲からガンマ線が放出される時の気象条件や、上空の降水粒子分布を明らかにし、論文として出版した (Wada et al., 2021, Meteorological aspects of gamma-ray glows in winter thunderstorms, Geophysical Research Letters, 48, e2020GL091910)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小型線量計の開発に関してはプロトタイプの作成、デバッグを進めており、2021年の冬季には予定通り北陸地方に設置できる見込みである。また既存の検出器の金沢市における運用やデータ解析、論文出版なども順調に進んでおり、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度には小型線量計の開発を完了し、2021年11月頃を目処に、複数台の線量計を石川県金沢市に設置する予定である。またその周辺地域における雷活動の電波による観測や雷雲による大気電場計測の準備も進め、地球ガンマ線フラッシュの発生に備える。加えてこれまでの観測データの解析も進め、モンテカルロ・シミュレーションなども組み合わせることで、地球ガンマ線フラッシュや雷雲内における電子加速・増幅メカニズムの解明を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で海外渡航しての学会発表がなかったこと、および緊急事態宣言の発令で予定していたより埼玉-石川間の往復が少なかったことから、旅費相当分を翌年に繰り越した。繰越金は線量計の開発・量産に必要な物品の購入に充当する予定である。
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[Presentation] Radar diagnosis of winter thunderclouds in Japan originating gamma-ray glows2020
Author(s)
Yuuki Wada, Teruaki Enoto, Mamoru Kubo, Kazuhiro Nakazawa, Takayuki Yuasa, Daisuke Yonetoku, Tatsuya Sawano, Tomoo Ushio, Taro Shinoda, Yousuke Sato, Gabriel Sousa Diniz, Harufumi Tsuchiya
Organizer
AGU Fall Meeting 2020
Int'l Joint Research