2020 Fiscal Year Research-status Report
Unveiling Lyman Continuum photon escape mechanisms of local galaxies with SOFIA
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20K22358
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
橋本 拓也 筑波大学, 数理物質系, 助教 (40870887)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 赤外線天文学 / 銀河形成進化 / 近傍銀河 / 電離光子 |
Outline of Annual Research Achievements |
【本研究の背景】 宇宙再電離現象とは, 宇宙誕生後およそ2-10億年に起きた宇宙空間の最後の相転移を指す。主に初代星や初代銀河の放射する電離光子によって引き起こされたと考えられているが, 未解明な部分が多く現代天文学におけるフロンティアの一つである。再電離の過程を理解するためには, 当時代にあった超遠方銀河の放射する電離光子を理解することが重要である。しかし, 超遠方銀河の放射する電離光子は原理的に観測できない。そこで近年注目を浴びる手法が, 電離光子を観測できる近傍宇宙に存在し, かつ宇宙再電離時代の銀河に性質が近い「アナログ天体」を用いて間接的に超遠方銀河からの電離光子放射の過程を明らかにすることである。特に重要なのは、銀河から銀河外へ漏れ出し、再電離へ寄与した電離光子の割合 (脱出率) を定量評価することである。 【具体的内容、意義】 従来の研究では紫外線や可視光の光学特性と電離光子脱出率を結びつける試みが主流であった。本研究では、初めて銀河の遠赤外線の性質に着目し、電離光子脱出の物理と結びつけることを目指す。遠赤外線を用いる利点は、(i) ALMA 望遠鏡とのシナジー: 近年、ALMA によって超遠方銀河の遠赤外線の性質が明らかになった。本研究が完成すれば、ALMAの研究を宇宙再電離研究の文脈に強力に位置付けることが可能である。(ii) 従来見逃されることが多い、電離光子のダスト吸収の影響を調査できる点である。対象天体は、アナログ天体のうち、電離光子脱出率が実際に測定されている3天体である。このうち2天体でSOFIA望遠鏡のデータを研究代表者が取得した。現在は、データ解析を進めている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SOFIA望遠鏡の観測が無事に完了し、データ収集が完了した点は、大きな進展だと言える。 また、本テーマの準備研究に相当する研究を、学生の卒業研究として完成させた点は特筆に値する。 一方で、コロナ禍の影響で研究時間が制限された影響もあり、SOFIA望遠鏡のデータ解析は着手できていない。総合的に判断すると、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当課題の推進には、学生の協力が必要である。2021年度は、修士学生1名及びSOFIA望遠鏡のスタッフと協力し、データ解析の完了及び論文化を目指す。
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Causes of Carryover |
【当該助成金が生じた状況】 設備品費及び消耗品費: 本研究課題の協力者である学生 (当時学部4年生)が、コロナ禍の影響で学内入構規制された。このため、当初予定していたデスクトップPCを購入しなかった。国内外旅費: コロナ禍の影響が当初の予想より大きく、旅費のかかる研究会参加は無かった。人件費: 当初予定していたリサーチアシスタントの雇用を見送ったため。 【翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画】 残額を合わせた金額は、主に (1) データ解析に関わる学生の短期雇用 -- 70 万円(2) 解析に用いる高性能なPC及び消耗品の購入 -- 70 万円 (3) 論文出版費 -- 10 万円 (4) 書籍費 -- 20万円 (5) 旅費 40 万円 に使用する。
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Research Products
(1 results)