2021 Fiscal Year Research-status Report
抗酸化酵素に用いられる活性中心金属の進化と大気海洋酸化還元変動史との関連性の解明
| Project/Area Number |
20K22359
|
|---|
| Research Institution | University of Tsukuba |
|---|
Principal Investigator |
原田 真理子 筑波大学, 生命環境系, 助教 (80833631)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
|
| Keywords | 抗酸化酵素 / SOD / 活性金属中心 / 海洋化学組成 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、抗酸化酵素スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の起源と進化、およびそれらに対する地球環境進化の寄与を明らかにすることを目的とする。研究2年目では、1年目に引き続き、鉄(Fe)とマンガン(Mn) を活性中心とする2種のSOD（FeSODおよびMnSOD）について分子系統解析と祖先型酵素の復元実験を行なった。分子系統解析の結果からは、これら2種のSODの起源は活性金属中心がFeとMnのどちらでも活性を示す状態（金属選択性が弱い状態）のSODであることが確認された。その後、Mnを活性中心とする酵素が進化し、FeSODはこれらから派生して進化してきたことが示唆された。本結果の一部は、国際学術誌に研究論文（Harada et al. 2021）として発表した。一方で、研究1年目から着手している祖先型酵素の復元実験では、酸素発生型光合成細菌であるシアノバクテリアの祖先型FeSODについて、人工遺伝子の合成および調整が順調に進行しているものの、 大腸菌内での大量発現には至っていない。今後は発現条件の検討を行う予定である。また、より年代の古い祖先型FeSODおよびMnSODについても研究対象とし、分子系統解析と祖先型復元実験を進める予定である。これらについて祖先型SODアミノ酸配列復元に用いる系統樹形を決定するとともに、祖先型配列の復元、人工遺伝子の合成、大腸菌内での大量発現をさらに推し進める予定である。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画では、研究1年目から2年目前半にかけて、過去のSODのアミノ酸配列(祖先型アミノ酸配列)を推定し、これをもとに過去のSOD(祖先型SOD)を実験室で 復元し、その性質から活性金属中心を調べることを目標としている。研究2年目に多くの実験を計画していたが、申請者の産前・産後休業および育児休業取得に伴い遅延が生じている。
|
| Strategy for Future Research Activity |
研究1年目および2年目に得られた系統樹形を元に、3種の祖先型SOD酵素：(1) FeSODの祖先、(2) MnSODの祖先、(3) FeSOD・MnSOD共通祖先について、祖先型アミノ酸配列をベイズ法により推定する。 推定した配列について、それぞれをコードする祖先型遺伝子を 組み込んだプラスミドを用いて大腸菌を形質転換し、酵素を大腸菌内で大量発現させる。得られた酵素の金属選択性を、現代の酵素との配列比較や酵素活性測定等の手法により推定する。
|
| Causes of Carryover |
申請者の産前産後休業および育児休業取得に伴い、研究の中断期間が生じたため。翌年度分として請求した助成金は、休業期間中に実施不能となった実験を復職後に行う経費として使用する予定である。
|
