2021 Fiscal Year Annual Research Report
地球深部マグマの物性の理解へ向けたケイ酸塩ガラスの高温高圧その場物性測定
Project/Area Number |
20K22369
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
大平 格 学習院大学, 理学部, 助教 (90873159)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
Keywords | ガラス / 高圧 / 弾性波速度 / 二体分布関数解析 / 放射光X線その場観察 / 地球深部マグマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ケイ酸塩ガラスの高圧構造物性変化の組成依存性を明らかにするため、放射光X線を用いた高圧実験を推進した。 放射光施設・SPring-8のBL04B1ビームライン設置のマルチアンビルプレスを用いた実験から、xAl2O3-(1-x)SiO2ガラス(x=0.28-0.60, モル比, 以下ASガラスと表記)とCaAl2O4ガラスについて、1-24万気圧(24 GPa)の圧力範囲で弾性波速度を決定した。各ガラスの圧力に対する速度の変化挙動をみると、約7-10 GPaで、Alを含まないガラスではみられない速度の急増が観察された。特にASガラスでは、Al2O3量が増加するほど速度の急増が明瞭に観察されるようになった。この結果は、約7-10GPaで、Alを含むガラスだけが経験する構造変化が存在する可能性を示している。 弾性波速度のデータから示唆されたガラスの高圧構造変化を直接観察するために、米国の放射光施設Advanced Photon Sourceの16-BM-Bビームラインで高圧その場X線回折リモート測定を行った。測定試料には、既に弾性波速度を決定していたCaAl2O4ガラスを用いた。この実験では、常圧から10 GPaまでの約1 GPaの圧力間隔でCaAl2O4ガラスの構造情報(二体分布関数)を取得することに成功した。各圧力条件の二体分布関数を比較したところ、7-9 GPaでAlOの多面体とCaOの多面体が接近するような構造変化が生じることが明らかとなった。この構造変化が生じる圧力範囲は、弾性波速度の急増が観察された圧力範囲とほぼ一致する。したがって、CaAl2O4ガラスの弾性波速度の急増には、上述の構造変化を反映していると考えられる。今後はASガラスの二体分布関数も取得し、Caの有無により構造変化の様式がどのように変化するのかについて検証していきたい。
|
Research Products
(8 results)