2022 Fiscal Year Annual Research Report
衛星重力データと固体地球応答モデルを用いた南極域バルジの形成・崩壊の検出
Project/Area Number |
20K22372
|
Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
入江 芳矢 国立極地研究所, 先端研究推進系, 特任研究員 (30881015)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
|
Keywords | 南極氷床 / GIA / GRACE |
Outline of Annual Research Achievements |
南極氷床の質量変動は、重力観測衛星(GRACE)によって、重力場変動として観測されている。その観測される重力場変動には、氷床変動に伴う固体地球の粘弾性応答(GIA)の影響が含まれているため、GIA補正量を評価する必要がある。 当該年度は、前年度までに実施したGIAの数値シミュレーションの結果を用いて、GIA補正量の計算を実施した。GIAを評価するためには、南極域における地球内部粘弾性構造と最終氷期以降の氷床融解史が必要となる。南極下の粘弾性構造は、地震波速度の研究から、東南極と西南極の間で不均質が存在することが知られている。そこで、GIA補正量の地球内部粘弾性構造依存性を詳細に調べた。また、氷床融解史については、既存の広く使われている4つの氷床融解史モデルを実装し評価した。 主な結果は以下の通りである。(1) 前年度に明らかになったリソスフェアの厚さと上部マントルの粘性率の間に存在するトレードオフが、GIA補正量の評価においても存在することが明らかになった。(2) 地震波速度の研究から推定される粘弾性構造を、東南極と西南極で平均した粘弾性構造を作成し評価したところ、どちらの粘弾性構造を用いてもほとんど同じGIA補正量が得られた。(3) 4つの既存の氷床融解史モデル全てで、(1),(2)の結果が得られることが確かめられた。以上3つの結果を統合すると、南極域における地球内部粘弾性構造の東西不均質は、南極氷床質量変動の見積もりに影響しないことが結論づけられる。
|
Research Products
(2 results)