2023 Fiscal Year Annual Research Report
Observational study of star-formation and chemical enrichment in the youngest galaxies
Project/Area Number |
20K22373
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
中島 王彦 国立天文台, 科学研究部, 特任助教 (80875534)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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Keywords | 銀河形成 / 化学進化 / 星形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では、主にジェームズ・ウェブ宇宙望遠鏡 (JWST) を用いて、初期宇宙における銀河の重元素量進化を直接調べる研究を実施した。国際競争の激しい中、NIRSpecの分光データの整約 (観測装置から得られるデータをサイエンスのできる状態に処理すること) の手法が確立されていないことを問題視し、研究代表者は様々な試験を重ねることで、高い精度を実現する優れた整約手法を開発した。この整約手法を用い、これまで酸素の存在比を調べることがほぼ不可能であった120億年以前の遠方の宇宙の銀河を138個発見し、それらの酸素の存在比を昨年度に研究代表者らが確立した手法 (Nakajima et al. 2022, ApJS, 262, 3) を用いて精度高く測定することに成功した。その結果、現在から131億年前までの銀河では、現在の宇宙で見られる程度の酸素が銀河の質量などに応じて既に豊富に存在している一方で、131~133億年前で見つかった銀河では、半分程度の少ない酸素の存在比しか持たないことが判明した。これらの結果から、宇宙の最初の5~7億年の銀河の中で、酸素が急激に増えたことを裏付ける証拠を初めて得ることができた。 上記の成果は高インパクトファクターの国際査読誌において主著論文として出版済みである (Nakajima et al. 2023, ApJS, 269, 33)。本論文は23年11月に出版されたばかりにも関わらず120回以上引用され、本研究分野に高いインパクトを与えていると言える。本研究で迫った酸素の起源は、社会的なインパクトも大きく、記者会見の結果はNHKや主要紙、国内外のウェブ機関を始め多数報告された。 研究期間全体を通じ、実施計画に沿いながらも当初の目的を上回る成果を残すことができた。
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