2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis and modeling of the wing-body boundary layer interaction in aircraft stall phenomenon
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20K22379
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
玉置 義治 東北大学, 工学研究科, 助教 (10881203)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 乱流境界層 / 高レイノルズ数 / 剥離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、航空機の失速予測において重要となる、胴体ー翼結合部における乱流境界層の干渉現象の解明を目指し、側壁のある乱流境界層の高精度乱流シミュレーション(Large-eddy simulatiom: LES)を行う。航空機の失速条件においては胴体と翼の結合部においてしばしば境界層の剥離が生じるが、この剥離現象には、胴体境界層と翼境界層の干渉によって生じる主流方向に軸線を持つ渦(二次渦)が影響していると推測されている。二次渦の効果は既存の乱流モデルでうまく再現できないことが知られており、本研究で得られる高精度乱流データベースの分析を通じて、1)境界層剥離とその結果として起こる失速現象に対する二次渦の影響の定量化、2)乱流モデルの改良への知見の創出、の双方を目指す。 課題実施2年目である本年度は、昨年度までに実施した試計算結果を踏まえて、LESの本計算を実施した。LES本計算では、実際の航空機に近い10の6乗レベルのレイノルズ数(全長および一様流速度基準)の流れ場条件を採用した。計算は順調に進行し、平均速度やレイノルズ応力等の流れ場の統計平均データを取得した。得られた計算結果では、計算設定時の狙い通り、主壁ー側壁に挟まれた隅部における二次渦と剥離を再現することができた。さらに、得られた計算結果を用いて、隅部における運動量の輸送メカニズムの解析を実施した。この解析によって、二次渦が隅部へ運動量を輸送していることを定量的に示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は昨年度までの試計算結果に基づいた条件設定を行い、側壁干渉流れ場の高レイノルズ数におけるLES解析を実施した。時定数の長い現象であったことから予定よりもやや長い統計時間の計算を回す必要があったが、計算が順調に進んだことから年度中に十分な統計平均データを取得して計算を終了することができた。計算結果は事前の狙い通り主壁ー側壁に挟まれた隅部における二次渦と剥離を再現していることから、乱流モデルの改良につながる有益なデータベースが取得できたと考えている。 また、二次渦による運動量輸送の定量化等のデータ解析も進めている。ただし、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、学会等を通じた十分な議論ができなかったため、研究機関を延長してさらなるデータ解析等を行う必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに実施した計算で得られた統計平均データの解析を行い、乱流モデルの改善につなげる知見を得る。特に、乱流モデルの重要なファクターであるひずみーレイノルズ応力間の関係式(constitutive relation)について、統計平均データを元に回帰を行う。この結果を元に、既存乱流モデルで用いられている方法の妥当性の検証、改良の方向性を提示する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症のため学会が中止になるなどしたため、次年度に結果の考察及び発表の一部を延期した。
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