2020 Fiscal Year Research-status Report
革新的汚染土壌改質に向けた超臨界流体中の溶解現象の高時空間分解能計測とモデル化
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20K22381
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神田 雄貴 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (00885874)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 超臨界流体 / 二酸化炭素 / 光学計測 / 熱物質輸送 / 溶解現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、超臨界流体を用いた汚染土壌の改質手法の実用化に向けて、超臨界状態における二酸化炭素中の模擬汚染物質の溶解界面近傍における非定常熱物質輸送の定量計測、および超臨界条件下における溶解速度モデルを構築することを目的としている。前述の目的を達成するために、本年度は第一の目標である、高時空間分解能を有する光学手法を用いた、超臨界状態における二酸化炭素中の非定常熱物質輸送の定量計測を目指し、研究に着手した。 二酸化炭素の臨界点は7.4 MPa、31℃である。本年度はまず既存の可視化セルを用いて、セル内に液体状態の二酸化炭素を充填し、カートリッジヒーターによる加熱により超臨界状態の実現および可視化に成功した。本実験により超臨界状態を実現するための温度および圧力条件を確定することができた。本結果をもとに、より高精度な温度圧力の制御、および超臨界状態の安定した計測を目指し、独自の可視化容器の開発を行った。本装置はこれまでに申請者が確立したペルチェモジュールおよびシリンジポンプによる高精度な温度圧力制御技術を応用した。本年度は本装置のデザイン、性能試験、および実験手順を確立した。実験の実施はやや遅れたが、次年度初頭の耐圧試験が完了次第、本装置を用いた熱物質輸送現象の可視化実験を行う準備を十分に整えることができた。 また実験と並行し、次年度の計画であった数値モデルの構築を先行して行った。本年度は汎用ソフトウェアを用いて、実験条件を模擬した超臨界二酸化炭素中の熱輸送現象を評価した。物質輸送現象については、拡散係数などの情報収集を進めるに留まったが、数値モデルに拡散係数等の情報を応用し、計算を進める予定である。また数値計算の進捗から、7.0~8.0 MPaの臨界点近傍の範囲において、数値計算の精度が十分でないという課題も明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超臨界状態における二酸化炭素中の非定常熱物質輸送の定量計測に向けた実験装置の確立、および汎用ソフトウェアを用いた実験条件を模擬した熱輸送現象評価を達成したため。 実験の実施は計画よりもやや遅れているが、概ね実験装置が完成しており、耐圧試験が完了次第、本装置を用いた熱物質輸送現象の可視化実験を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
構築した実験装置を用いて、超臨界状態における二酸化炭素中の非定常熱物質輸送の定量計測を行う。また、臨界点近傍の範囲における数値計算精度の向上を目指し、汎用ソフトウェアの改良や、新たな数値計算手法を検討する。さらに、本研究の第二の目標である、超臨界流体中における汚染物質の溶解特性の理解に向けた溶解速度のモデル化を行う。
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