2020 Fiscal Year Research-status Report
Research and Flight Verification of a Small and Low-Cost Solar Plane Based on Active Aeroelastic Control
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20K22386
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 直人 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (10884661)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 高高度擬衛星 / ソーラープレーン / 能動空力弾性制御 / 偏微分方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究においては、柔軟航空機の飛行を模擬するシミュレータの開発および、柔軟航空機の飛行を検証する実験機の製作・および試験飛行を行った。 シミュレータの開発においては、梁構造の運動方程式を多項式近似と二次計画法を用いて離散化する手法を開発した。本手法は、任意の境界条件設定および分布力に対応し、さらにモデルの低次元化手法を用いて、計算精度と計算コストの最適な配分を調整することができる。本手法と従来手法であるモード解析の解を比較し、精度検証を行った。その結果、十分長時間の積分を行ってもモード解析の解と大きな乖離が現れず、計算が破綻することもなかった。またモード解析手法との解を比較することで、モデル低次元化の強度を調整する手法も併せて開発することができた。 実験機の製作においては、まず小型の無人航空機を用いてMEMS姿勢センサを用いた姿勢推定アルゴリズムの検証を行った。また、基板加工機を導入し研究室内で迅速かつ高信頼性の基板加工が行えるようになった。製作した4mスパンの能動空力弾性制御を用いた実験機は12月に福島県南相馬市の実験施設にて1回目の試験飛行を行い、機体の浮上を確認した。定常飛行には至らなかったが、飛行ログ解析から制御ゲインの設定方法や機体の重量分布の調整法など、重要な知見が得られた。特に構造振動をMEMS姿勢センサでとらえる場合、その動作周波数が特に重要であり、時系列的に十分な解像度を姿勢データに持たせることで、構造振動制御がうまくいくという道筋が得られた。その結果を受けて、試作2号機を作成し飛行試験への準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
能動構造制御のためのシミュレータ作成はおおむね完成しており、また試験機の1回目の試験飛行を行うことができた。他方、当初想定よりも試験飛行回数が少ないが、大きな遅れとはなっていない。今後はシミュレーションと飛行実験のすり合わせを行い、当初計画の目標である小型低価格なソーラープレーンの実現に向けた研究を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はより試験飛行を頻繁に実施し、実際の飛行データを取得する予定である。令和二年度において機体の設計・製作法・姿勢推定アルゴリズム、および試験飛行場所について十分に検討を行うことができたため令和三年度においては新型コロナウィルスの感染状況にもよるが、月2回程度の試験飛行を行ってデータを蓄積する。さらに太陽方向やたわみの値など、柔軟航空機やソーラープレーン特有の観測量を用いて、より高精度に姿勢推定を行うアルゴリズムを開発中である。 簡易的に制御則の妥当性を確かめるための風洞実験を用いた手法を整備し、短期間で最大限のデータが得られるよう、実験計画を作成している。また数値シミュレーションの観点からは、柔軟航空機の構造運動解析と、一般的なフライトシミュレーションを組み合わせ、実際に機体に搭載するハードウェアを用いて試験するハードウェアインザループシミュレーションを構築し、数値的環境で実際の飛行データを再現できるよう研究を進めていく。 また飛行試験で得られたデータとシミュレーションについて、学会発表および学術誌投稿をすすめ、研究成果を広く公開する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、当初想定よりも試験飛行回数が少なかった。このため人件費・謝金の使用額が少なく、次年度使用額が生じた。次年度は試験飛行回数を増やしていく計画である。
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