2022 Fiscal Year Annual Research Report
界面活性剤の吸着・脱離・粘弾性を考慮した液膜形成・崩壊のAMR法による数値解析
Project/Area Number |
20K22388
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松下 真太郎 東京工業大学, 工学院, 助教 (20883036)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 弱圧縮性気液二相流計算 / 大規模シミュレーション / 粘弾性流体 / 界面活性剤 / 液膜計算 / AMR法 |
Outline of Annual Research Achievements |
界面活性剤の濃度とカップリングさせたc-FENE-Pモデルによる粘弾性と界面活性剤輸送の連成計算の実装および液膜計算を実施した.界面活性剤の輸送モデルは差分法で解かれることがほとんどだが,濃度保存性を担保させるために有限体積法による実装を行った.気液界面において気相側へ濃度が漏れ出す非物理的挙動を改善するために,液相側に濃度を押し戻す方法を新たに考案し,検証問題で妥当性を確認した.抜本的解決のために界面上の濃度輸送方程式を抜本から見直し,デルタ関数で表される平衡状態プロファイルに向かっていくようなモデル方程式を独自に考案し,ベンチマーク問題を解くことで,提案手法が既存手法に対して優位性を持つことが確認された.提案したモデル式による研究成果はJournal of Computational Physicsに投稿予定である. 界面活性剤濃度とカップリングさせたc-FENE-Pモデルによる粘弾性流体中の気泡上昇問題において,液面まで気泡を上昇させた際の液膜の挙動を解析した.デボラ数Deと粘弾性ポリマーを非線形バネで近似した際の最大長さを無次元化したパラメータLを変化させて液膜挙動を観察したところ,ほとんどの場合で粘弾性を考慮した液膜の方が粘弾性を考慮していないものと比較して早く崩壊した.濃度差マランゴニ効果による加速度項と粘弾性の加速度項を比較すると,界面上の濃度勾配が大きい場所ではマランゴニ効果が大きく働くが,Tr(C)がバネの長さの2乗であるためバネの伸びも大きくなる.バネの伸びが大きくなる部分では流体の変形が大きいため,マランゴニ効果を打ち消すように粘弾性が作用する.このようなメカニズムによって粘弾性が液膜を不安定化し得ることが新たにわかった.一方でDe=10, L=100では,気泡の周期的振動が抑制され,機械的な崩壊を抑制する可能性があることが示唆された.
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