2020 Fiscal Year Research-status Report
Structural optimization for design of high performance photonic devices based on bi-directional beam propagation method.
Project/Area Number |
20K22408
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
井口 亜希人 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 助教 (00872996)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 光導波路デバイス / 数値電磁界解析 / 双方向ビーム伝搬法 / 構造最適設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,新規光回路デバイスの創出を目指して,双方向ビーム伝搬法を活用した効率的な構造最適化法の開発を目的としている.初年度は,はじめに,双方向ビーム伝搬法そのものの計算効率化を目指して,双方向ビーム伝搬解析に必要な行列平方根,行列指数関数の近似・計算方法に関する検討を行った.双方向ビーム伝搬解析では行列平方根をそのまま計算することに一つの特徴があり,各種反復解法や行列分解に基づく直接法の有効性が報告されている.しかし,それら手法の比較検討はなされていなかったため,最適設計の観点から有効な方法を比較検討により調査した.具体的に,Denman-Beavers反復法,Schur分解に基づく直接法,およびそれらの変種手法を比較した. その結果,精度・計算時間の観点からSchur分解に基づく直接法が計算効率の観点から有用であることを確認した. 次に,構造最適化における設計変数に対する特性感度の計算効率化に関する検討を行った.双方向ビーム伝搬法では,デバイスを長手方向に分割し,分割した領域の伝搬演算子を計算する.各分割領域の伝搬演算子は独立に計算可能であり,並列計算が可能である.この特徴を活用して,特性感度の計算効率化を図る方法を検討した.これらの検討と並行して,有限要素メッシュに基づく双方向ビーム伝搬法について検討を行った.光ファイバなどの軸対称光導波路に対しては,軸対称有限要素法が有効である.軸対称有限要素法に基づく双方向ビーム伝搬法は既に検討されているが,スカラ近似解析のみ提案されていた.プラズモニック導波路や屈折率差の大きな導波路では,フルベクトル解析が必要となる.そこで軸対称光導波路のためのフルベクトル有限要素双方向ビーム伝搬法の定式化を新たに行った.汎用的に利用されている手法との比較を通して,本手法の有効な範囲を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.双方向ビーム伝搬法そのものの計算効率化を目的として,本手法で要となる行列平方根の計算手法について検討を行い,Schur分解に基づく直接法の適用が有効であることを明らかにした.また,双方向ビーム伝搬法を活用した光デバイスの2次元近似設計について検討し,効率的な感度計算方法を提案した.さらに,本設計の有効性をいくつかの要素設計問題を通して確認した.本検討結果は国内発表ならびに国際的な学術雑誌にすでに掲載済みである. 2. 有限要素法に基づく双方向ビーム伝搬法について,軸対称フルベクトル有限要素法に基づく双方向ビーム伝搬解析手法を新たに定式化・提案した.本手法は比較的計算コストを要する固有対の算出が不要な手法であり,放射・減衰モードを含めた光波伝搬解析が可能である.いくつかの解析例を通して,本手法が特に周期性のある導波路の伝搬解析に有効であることを確認した.この成果を取りまとめ,学術雑誌に投稿を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き,有限要素メッシュに基づく双方向ビーム伝搬解析法を活用した光デバイスの構造最適化法について検討を進める.双方向ビーム伝搬法では横方向のメッシング手法として有限差分法や有限要素法が適用されているが,有限要素法はメッシュ形状の柔軟性に優れ,高次の補間要素の適用により,少ない空間分割でも計算精度が維持できる可能性がある.今年度は初めに,有限要素メッシュに基づく2次元双方向ビーム伝搬解析ソルバを作成する.次に,本解析手法を活用した構造最適化法について検討を行う.双方向ビーム伝搬法を用いた場合の効率的な感度計算手法は昨年度の成果にて提案しているため,この成果を応用し,設計に要するトータルの計算時間の観点から本設計アプローチの有効性とその範囲を明らかにする.また,双方向ビーム伝搬法と空間光学系の解析手法,または通常の有限要素法との結合解法を併せて検討し,有効性とその範囲を明らかにする.
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Causes of Carryover |
学会参加のための旅費として計上した分がオンライン開催により不要となり,その影響で端数が生じたため,次年度の旅費分として持ち越すこととした.
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Research Products
(27 results)