2020 Fiscal Year Research-status Report
ノンコリニア反強磁性体のスピントルク誘起ダイナミクスの解明とその応用
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20K22409
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹内 祐太朗 東北大学, 電気通信研究所, 学術研究員 (10882136)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | スピントロニクス / ノンコリニア反強磁性体 / スピントルク / スピン軌道トルク / 異常ホール効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ノンコリニア反強磁性体にスピントルクを作用させたときのスピンダイナミクスを理解し、従来にない新機能を有したデバイスの創製を目指す。当該年度ではエピタキシャル成長したノンコリニア反強磁性体/重金属のヘテロ構造を作製し、ノンコリニア磁気構造にスピントルクを作用させるための素子開発を行い、直流電流を印加させたときのノンコリニア磁気構造のダイナミクスを調べた。スピントルクをノンコリニア反強磁性体に作用させたときにノンコリニア磁気構造の無磁場での回転現象が観測された。また、回転現象を引き起こすための閾値電流は数MA/cm2と非常に小さい電流で動作することが分かった。さらに、ノンコリニア反強磁性体のスイッチング磁場と回転現象を引き起こすための閾値電流の比から、ノンコリニア反強磁性体は外部磁場に対してロバストかつ電流で比較的容易に制御可能であることを明らかにした。本研究によって観測された現象は従来のコリニア磁気構造では見られなかった現象であり、新機能デバイスへの展開が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度にてノンコリニア反強磁性体のスピントルク誘起ダイナミクスを明らかにし、従来のコリニア磁気構造では観測されなかった現象を観測することに成功した。さらに、ノンコリニア反強磁性体/重金属ヘテロ構造のナノスケール単一ドット素子の微細加工し、ノンコリニア反強磁性体の異常ホール効果を観測することに成功し、ノンコリニア反強磁性体を用いた発振デバイスやメモリデバイス創製の研究ための準備が完了した状態であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に作製が完了したノンコリニア反強磁性体単一ナノドット素子を用いて、新たな機能を有したスピントロニクスデバイスの創製を目指す。最初にドット素子にコプレーナ導波路を形成することで、高周波電流を印加・検出可能な状態にする。今後はこの試料を用いてノンコリニア反強磁性体の磁気構造の電流スイッチングや回転現象を利用した発振を実証へと展開することを検討している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により学会等がオンライン開催になったため旅費の使用がなかった。また、当初の予定よりも研究が順調に進んだため、単一ナノドット素子の加工に着手し、デバイス加工のための消耗品を当初の計画よりも多く購入した。
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