2020 Fiscal Year Research-status Report
Faster-than-Nyquist伝送と最適電力配分による高速無線通信の検討
Project/Area Number |
20K22410
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石原 拓実 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (60881513)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 無線通信 / 情報理論 / Faster-than-Nyquist / FTN signaling / FTN信号伝送 / power allocation / 広帯域通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、広帯域フェージング伝搬路におけるfaster-than-Nyquist(FTN)伝送の理論性能解析および電力配分の最適化を行う。さらに、提案する送受信機の低演算量化を行う。これにより、無線通信で一般的なルートレイズドコサイン帯域制限フィルタを用いた場合に、従来のナイキスト基準に基づいた無線システムよりも高い通信レートおよびリアルタイム動作を実現可能なFTN伝送システムを構築する。 当該年度では、広帯域フェージング伝搬路におけるFTN伝送の情報理論的な性能解析および最適電力配分の導出に取り組んだ。具体的には、まず広帯域フェージング伝搬路においてFTN伝送が達成可能な通信レートを情報理論解析フレームワークに基づいて導出した。さらに、ラグランジュの未定乗数法に基づき、導出した理論通信レートを最大化するように電力配分係数を設計した。これにより、広帯域フェージング伝搬路において従来のナイキスト基準伝送よりも高い通信レートを達成できることを情報理論的に明らかにした。また、強力な誤り訂正符号を付加した場合のビット検出誤り率を数値シミュレーションによって評価した。これにより、提案FTN伝送システムが従来のナイキスト基準伝送よりも高い電力効率を達成可能であることを数値解析の観点からも明らかにした。さらに、送信時間信号のパワースペクトル密度を推定することにより、提案の最適電力配分アルゴリズムを適用した場合においてもFTN送信信号が期待通りに帯域制限されていることを確認した。 上記の研究成果をまとめた論文は、国際会議IEEE ICC Workshops 2021に採録された。また、関連研究成果を電子情報通信学会総合大会2021において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、初年度に広帯域フェージング伝搬路におけるFTN伝送の理論性能解析および電力配分の最適化を行うことを予定していた。研究実績の概要に述べたように、当初の計画通りに研究を遂行し、初年度の研究目標を達成することができた。関連研究成果が既に国際会議に採録されたことも踏まえ、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、初年度に提案した最適電力配分の低演算量化に取り組む。初年度で提案したFTN伝送システムは、電力配分の最適化に膨大な演算量を要するため、リアルタイムで動作することが困難である。そこで、研究代表者らの既存研究成果を応用することにより、リアルタイム動作が可能な低い送受信演算量を維持しつつ、最適な電力配分を行った際の通信レートを漸近的に達成可能なFTN伝送システムの確立を目指す。
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Causes of Carryover |
当該年度の旅費は、コロナ禍のため使用機会がなかった。また、その他の費用としては、コロナ禍を考慮して、主に計算機リソースとしてクラウドコンピューティングサービスの利用費を計上していたが、大学への出勤が可能になったため使用機会がなかった。そのため、次年度分として繰り越しを行った。 次年度では、再び大学への出勤が厳しくなった場合は、予定通りクラウドコンピューティングサービスの利用費として使用する。また、大学で使用している個人用計算機の劣化を鑑み、新しい個人用計算機およびその周辺機器等を購入することを予定している。
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