2022 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of 3C-SiC as a novel spintronic compound semiconductor
Project/Area Number |
20K22413
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
重松 英 京都大学, 工学研究科, 助教 (00879265)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | スピントロニクス / 半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,これまで行ってきた3C-SiCを用いた電気的スピン流注入の実験的検証によりナノスケール構造におけるスピン流分布の計算の必要性が明らかになったことから,偏微分方程式のソルバーを用いたナノスケールにおけるスピン拡散方程式の計算手法の確立に取り組んだ.まず,従来型の2キャリアモデルに基づいて,異なる磁性パラメータをもつ物質間の電流保存則とスピン流保存則により,解析的に知られている電気的スピン流注入現象が再現できるかを確認して,定量的にスピン流注入量を求めることができた.さらに,半導体物質においてはゼーベック係数が高く,とりわけ金属磁性体などと接した場合にスピン依存ゼーベック効果と呼ばれる効果が発現することが知られている.スピンペルチェ効果と呼ばれる逆効果も知られている.これらの効果を考慮して,ポテンシャルや温度差から電流・スピン流・熱流が生成されるモデルを偏微分方程式ソルバー上で構築して,包括的に求められるようにした.さらに,上記では2キャリアモデルと呼ばれる一方向の量子化軸に基づいた計算であったが,今後必要となる角度依存性によるスピン流物性探索に備えて,任意の方向に偏極したスピン流も扱えるモデルを構築した.計算においては,ジオメトリ自体を自在に回転させることにより,異常ホール効果のような顕著な角度依存効果が出るような現象を再現できた. 以上の成果をJournal of Applied Physics誌に報告した.これは,本課題研究の一部を成すのみならず,広くスピントロニクスデバイス作製に資する成果である.
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