2020 Fiscal Year Research-status Report
光学拡散板と空間光変調器による空間モード変換技術に関する研究
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20K22416
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
前田 智弘 青山学院大学, 理工学部, 助教 (90880641)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 空間光変調器 / モード分割多重伝送 / 空間モード変換 / 光ファイバ通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,まず,空間クロスモジュレーション法により高次空間モード間の変換が実現可能であることを数値解析により実証した.特に,LP21eモードを入力とした場合における特性を評価し,基本モードを入力とした場合と比較して3 dBの光利用効率低下および約20 dBのクロストーク増大を確認した.クロストークについては増大したものの,その数値は-40 dB程度と,16値のQAM信号に対する信号処理の閾値とされる-24 dBを十分に満足していることから,提案技術の実現性を否定するものではない.しかしながら,実験において数値解析よりもクロストークが大幅に増大することがこれまでの経験上わかっているため,数値解析モデルの改良およびパラメータのさらなる検討が必要となる.また,入力する空間モードによって変換性能に差が生じるという重要な知見が得られたため,位相変調分布を導出する際のパラメータを入力空間モードごとに最適化するなど新たな研究課題を得た. 次に,本技術において空間光変調器に与える位相変調分布の最適化について基礎的な検討を行った.具体的には,変換性能を決定づけるパラメータの最適値を導くために解析プログラムに最急降下法を実装し,解析領域サイズについて最適な値を導出した.解析領域サイズ以外にも複数のパラメータが変換性能に影響することが考えられるが,単一のパラメータが与える影響の度合いを定量的に評価した点において本取り組みは大きな意義がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前述のとおり,位相変調分布を導出する計算過程への最適化アルゴリズムの実装について,最急降下法による単一パラメータの最適値の導出にとどまっており,複数アルゴリズムの比較検討までは進んでいない.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,未完となっていた複数の最適化アルゴリズムに対する比較検討を実施する.解析結果から最適と判断できるアルゴリズムを利用して位相変調分布を導出し,原理実証実験を行う.実験では,まず,基本モードを入力とした場合について,変換後の光波の光波面を計測して各空間モードへの結合効率を算出する.得られた結合効率から変換性能を評価し,最適化前後で比較することで,最適化の効果を実証する.次に,入出力空間モード数をそれぞれ10とし,全10×10の組み合わせに対して変換性能を評価し,高次空間モード間変換の実証を行う.
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