2021 Fiscal Year Annual Research Report
繰り返し使用可能な極限環境反応場を有する物性測定プラットフォームの構築
Project/Area Number |
20K22420
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
松本 凌 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 若手国際研究センター, ICYS研究員 (10883960)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 高温 / 高圧 / 極限環境 / 超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高温・高圧環境を発生し、さらにその場で試料の物性測定を行える材料合成プラットフォームの開発を目指している。初年度には、高圧発生のためのダイヤモンドアンビル上に、導電性のホウ素ドープダイヤモンドから成る加熱用電極、温度測定用電極、および物性測定用電極を微細加工することに成功した。さらに、ダイヤモンドアンビル自体が割れてしまわない限り、洗浄して繰り返し使用できることも示された。 最終年度である本年度は、初年度に開発したプラットフォームの高度化を行った。具体的には、最高で3GPa程度であった発生可能圧力を50GPa程度に、700℃程度であった発生可能温度を1000℃程度まで向上させた。このアップグレードされたプラットフォームを用いて、第一原理計算からその存在および超伝導特性が予測されていたSn3S4という新規化合物を実際に高温高圧下で合成し、予測通りの超伝導を示すことを明らかにした。 さらに当該プラットフォーム中に水素ガスを封入し、水素化物超伝導体を合成するための基礎的な検討を行った。水素化物のホスト元素としてパラジウムをホウ素ドープダイヤモンド上に成膜し、高圧ガス充填装置をもちいて高密度に水素を封入した。電気抵抗測定の結果、低温で超伝導に伴うゼロ抵抗が観測され、水素化パラジウムが合成されていることが明らかとなった。以上の結果から、高温超伝導水素化物を探索するための革新的なプラットフォームの構築に成功したといえる。
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Research Products
(17 results)