2021 Fiscal Year Research-status Report
MEMSマイクロポンプを用いた選択粒子径可変分級器の開発と小型検出装置への応用
Project/Area Number |
20K22422
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
岡本 有貴 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (40880753)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | マイクロポンプ / MEMS / マイクロ流路 / 分級器 / 圧電アクチュエータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、キーホルダーのように身に付けられる幅広い径の微粒子を検出可能な小型微粒子検出器装置の実現である。そのために、MEMS技術を応用した大気引き込み機構を集積し、粒子径ごとに分ける機能(分級)の閾値を制御できるようにする。 本年度はまず、昨年度に引き続き提案する可変分級器に必要な圧電薄膜ダイアフラムMEMSマイクロポンプの開発を行った。前年度の実験から、提案する分級器の速度依存性を利用するには流量の振動を防ぐ必要があることが分かったため、180度位相の異なる2つのポンプを並列に動作させる機構に設計を変更した。そこで、その効果の実証を行うためにアクリル樹脂とバルク圧電体を用いて4×4cm四方のダイアフラムポンプを作製した。次に、作製したダイアフラムポンプを180度の位相差で並列動作させることで流量の振動が減少することを確認した。 小型マイクロポンプについては、昨年度用いたゾルゲル法により成膜したPZT薄膜によるダイアフラムアクチュエータでは変位が小さく、耐圧も20V-Vppが上限であり、流れを作るには十分といえない出力であった。そこで、より変位を得られるようスパッタリング法で成膜したPZT薄膜を用いた素子の試作を行った。実際に、ゾルゲル法によるPZT薄膜を利用した場合に比べ変位が数倍となることを確認した。また、マイクロポンプとして動作させるためにはダイアフラムアクチュエータを封止し、流路を形成する必要があるが、去年行った永久効果エポキシ樹脂レジスト(SU-8)とシリコーン樹脂(PDMS)を利用した接合実験の結果を用いて、流路構造を構築すると同時にダイアフラムアクチュエータを封止することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目で素子の開発を終了する予定であったが、COVID-19の影響により素子の作製が当初の想定よりも遅くなってしまったことが大きな原因である。 また、並列に素子を配置しても数cm四方に収まるようダイアフラムアクチュエータが径数mmの小型マイクロポンプを想定し設計・作製していたが、流量が小さいために想定以上に内部の流れの可視化が難しく、その評価が想定以上に困難であることも原因となっている。一方で、昨年度得た知見を活用し、樹脂接合により小型マイクロポンプの封止に成功したことや、評価用の圧電マイクロポンプを作製・利用し流量の振動減少を確かめることに成功するなど、基礎検討の発展は順調に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
設計したマイクロポンプ集積型可変分級器の試作を行う。まず、作製したマイクロポンプの評価を行い、実際の流量を確認する。 また、並列に利用したときは流量の変動が十分に少ないことを確認する。次に、完成した素子を利用して、外部からレーザー光を照射し微粒子による散乱光を計測することで大気中の微粒子量検出を行う。また、市販の粒子センサの出力値と比較することで、作製したセンサの性能を評価する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で物品の納品・実験が想定よりも遅れたため、当初想定した計測用消耗品購入分を次年度使用額とした。
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