2020 Fiscal Year Research-status Report
Verifying the flush regime of environmental DNA and developing monitoring methods for aquatic and terrestrial biotas
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20K22426
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内田 典子 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (50876464)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 環境DNA / 水生昆虫 / 降雨出水 / 河川環境 / 河畔域 |
Outline of Annual Research Achievements |
河川環境保全のため,河川生態系を構成する水域・陸域の生物相の把握が必要であるが,これまで,水・陸両環境の生物を同時かつ迅速に調査することは,労力的・技術的課題により困難であった.本研究は,河川水に含まれる大型生物由来のDNA(環境DNA)から水・陸の生物情報を得られることを活用し,水域・河畔域の無脊椎動物全般を対象として,出水時における環境DNA動態を明らかにし,河川環境の無脊椎動物種を統一的にモニタリングする方法を確立することを目的とする.2020年度は,宮城県において多降雨時期である6-10月に出水イベントを観測するため,(1)対象地点の設定を行った.地点設定には,第一に,出水が発生しても安全に採水・調査が可能であること,第二に,付近に水路など横流入がないこと,第三に,連続的に採取した水を濾過可能できる場所へのアクセスが容易であることを勘案し,2地点を設定した.また,(2)浮遊砂や有機汚濁物を多く含む水サンプルの分析手法の検討のため,過去に農業用水路から収集したサンプルを使用した実験手法を計画した.また,こうした(3)汚濁の強い水からの環境DNAの抽出効率を測定するため,標準DNAとして人工塩基配列を含むプラスミドを準備した.無脊椎動物DNAを対象としたユニバーサルプライマーによってPCR増幅されないことを,電気泳動を用いて確認した.また,メタバ―コーディングから得られるデータを情報解析する下準備として,(4)塩基配列多様性解析(ASV)を可能にするパイプラインのセットアップを行った.さらに,すべての作業と並行し,(5)水生昆虫を対象とした環境DNA研究に関しての文献調査・総説執筆を継続実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
出水時期に当たり,かつ日の長い6-10月における調査を計画していたが,交付内定が9月以降となったこと,およびコロナウイルス感染拡大防止に係る所属部局内の対応遵守のため,2020年度における調査が計画・実行に至らなかった.これに伴い,本研究で対象としている出水時の水サンプルを用いたメタバ―コーディング分析および情報解析を実施することができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
複数調査地点で遂行することが困難であるため,設定した少なくとも1調査地点において,昨年度実施できなかった出水時における調査を6~8月に集中的に実施する.期間中に発生する複数の出水イベントにおいて,降雨前・中・後を通して1~3時間間隔の詳細なサンプリングを行う.これによって異なる2つ以上の規模の出水中における環境DNAの時間的遷移を詳細に把握することを可能にする.
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Causes of Carryover |
野外調査に係る費用,高頻度採集サンプルの分析に係る試薬を含む消耗品の購入,また野外調査・分析補助に係る人件費に使用する.
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