2020 Fiscal Year Research-status Report
形状論アプローチによる災害時を見据えた道路ネットワーク脆弱性評価手法の確立
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20K22429
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
安藤 宏恵 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 助教 (00880056)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 道路ネットワーク / 接続性 / ネットワーク形状論 / 最大固有値 |
Outline of Annual Research Achievements |
災害発生時に深刻な機能不全を引き起こさない道路ネットワークを構築するため,脆弱性評価の要因となり得るネットワークの形状的特徴を見出すことを目的に,本年度は以下の2点について重点的に取り組んだ. (1)道路ネットワークの空間的構造を把握し定量的に評価する指標を確立するため,道路ネットワークの形状的性質を表す既存の指標について整理した.従来道路ネットワークの表現に用いられることが多い平面ネットワークを対象とする指標,複雑ネットワークの分野で活用される空間的つながりを示す指標に分類したうえで,道路ネットワーク適用時に各指標が評価できる性質をまとめた. (2)(1)でまとめたネットワークのつながりを示す指標の中でも,特に最大固有値に着目し,道路ネットワーク接続性向上の指標として最大固有値が活用可能であるかを検証した.最大固有値指標に着目した理由は,対象とするネットワークにおいて唯一の値を持つこと,有向グラフに適用可能であることが挙げられる.異なるネットワーク間の比較を可能とする評価指標の構築を目指すうえで,非常に重要な指標といえる.検証の結果,最大固有値を指標とするリンク増強では,既存の道路ネットワークにおいて強く接続する部分をより補うように整備する増強案となることがわかった.また,明らかにした最大固有値指標の性質を踏まえ,与えられた容量制約条件のもと最大固有値を最大とするにはどのリンクをどの程度補強すべきかを求める最大固有値最大化問題の定式化をおこなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,道路ネットワーク特有の形状的特徴について検証するため,複雑ネットワーク理論に基づくアプローチ,平面ネットワークを前提としたアプローチの両者における関係性を分析している.また,リンクの増強というネットワーク形状が変化した際の評価方法に関しても,簡易ネットワークを用いて検討することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は,ここまで整理したネットワーク形状の特徴を示す指標について,脆弱性評価と関連性の高い指標またはその複数条件を明らかにするための検証をおこなう予定である.その結果から,災害発生時に機能不全に陥らない道路ネットワークという観点のもと,望ましい形状的特徴に近づくよう具体的な道路整備案を提案する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により,予定していた国際会議,打ち合わせ等が延期またはオンライン開催となったため,旅費,その他にあたる経費の支出が予定より大幅に少なくなった.今年度はもともと令和2年度に開催が予定されており延期となった国際会議への参加が決定しており,次年度使用額から支出する予定である.また,昨年度に延期した研究打ち合わせも行うことを計画している.研究打ち合わせに関しては感染状況を鑑みてオンラインでの開催も十分に考えられるが,オンライン会議開催に必要な物品については,次年度使用額の物品費より捻出する予定である.さらに,ここまでの研究成果をまとめた論文投稿費による支出を予定している.そのほか次年度使用額の使用計画としては,研究代表者の所属機関が変更となったことによって発生した,研究遂行のための環境整備における使用も計画している.
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Research Products
(3 results)