2020 Fiscal Year Research-status Report
耐震性能の新陳代謝を可能とする鋼・コンクリート複合構造橋脚の開発
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20K22431
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植村 佳大 京都大学, 工学研究科, 助教 (80882133)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 柱構造 / 複合構造 / メタボリズム / セルフセンタリング / 取り替え / 復旧性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,耐震基準改訂や地震後の被害に応じて部材の取り替えが可能,つまり耐震性能の新陳代謝が可能な鋼・コンクリート複合橋脚の開発を行う.具体的には,地震時のエネルギー吸収を期待する外殻部に取り替え可能な鋼管(外殻部鋼管)を使用し,その内部に鉛直力支持機能およびセルフセンタリング機能を有するコンクリート部材(鋼管拘束コンクリート柱)を配置する複合構造を提案し,各種載荷実験によりその性能を評価することを目指す. 当該年度では,外殻部に鋼管,コア部に鋼管拘束コンクリート柱を使用した複合構造の検討に先立って,外殻部に鋼管,コア部に変位制御付きゴム支承を使用した構造(検討構造1)に対する実験的検討と,外殻部に鉄筋コンクリート構造,コア部に鋼管拘束コンクリート柱を使用した構造(検討構造2)に対する解析的検討を実施した. 検討構造1では,軸力支持下での外殻部鋼管の取替実験により,軸力載荷下での外殻部鋼管の取替が可能であることが確認された.また正負交番載荷実験により,大きな履歴面積を有する荷重変位関係が得られ,安定したエネルギー吸収能が発揮されるとともに,異なる外殻部鋼管を取り付けることによりその耐震性能が改変可能であることが確認された.また,外殻部鋼管の座屈発生以降の変形領域において,コア部に作用する軸圧縮力が増大し,通常発生する柱の軸沈下が抑制される現象が確認された. 検討構造2の解析的検討では,コア部の鋼管拘束コンクリート柱が地震時に部材力を発揮せず,損傷を受けない構造形式となることで,復旧時に外殻部を取り除く中でセルフセンタリング機構が発揮される構造が実現される可能性を示した.よって本構造では,セルフセンタリング機構の発揮が復旧時に限定されるため,セルフセンタリング機構を有する一般的なPC橋脚で問題となる地震時のエネルギー吸収能低下が発生しない構造が実現できることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去に外殻部に鉄筋コンクリート構造,コア部に変位制御付きゴム支承を使用した構造に対する実験的/解析的検討の実施実績があり,本提案構造の実現に際しては,外殻部に鋼管を使用する影響,およびコア部に鋼管拘束コンクリート柱を使用する影響を,過去の提案構造での結果と比較しながら定量的に評価することが重要であった. その中で,当該年度では,外殻部に鋼管,コア部に変位制御付きゴム支承を使用した構造に対する正負交番載荷実験および軸力載荷下での外殻部取替実験を実施することができ,外殻部に鋼管を使用した場合の柱の変形性能ならびにコア部の軸力支持性状の変化を定量的に評価することができた. また,外殻部に鉄筋コンクリート構造,コア部に鋼管拘束コンクリート柱を使用した構造に対する解析的検討により,コア部に鋼管拘束コンクリート柱が柱の復元力特性ならびに外殻部の力学性状に与える影響を明らかにすることができた. 以上の理由から,本研究課題の進捗は概ね順調であるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に実施した,外殻部に鋼管,コア部に変位制御付きゴム支承を使用した構造と,外殻部に鉄筋コンクリート構造,コア部に鋼管拘束コンクリート柱を使用した構造に対する検討結果を踏まえ,外殻部に鋼管,コア部に鋼管拘束コンクリート柱を使用した複合構造の実現を目指す.具体的には,当該年度の検討した構造の設計に使用した解析モデルを改良した本提案構造の解析モデルにより,実験供試体の構造パラメータや材料特性を決定する.そして,正負交番載荷実験および軸力載荷下での外殻部鋼管の取り替え実験を実施する.その際,正負交番載荷実験では,提案構造の復元力特性ならびに破壊性状を明らかにするとともに,コア部の鋼管拘束コンクリートに発生する部材力が事前解析により再現可能であったかを検証する.また軸力載荷下での外殻部鋼管の取り替え実験では,外殻部鋼管の取り替え可能性を検証するとともに,コア部のセルフセンタリング機能の発現性状を明らかにする. 以上の検討により,提案構造の構造性能を明らかにするとともに,提案構造の設計法や地震発生後の対応シナリオの提案を目指す.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け,次年度実施予定の実験に向けた予備検討およびそれに使用する計測機器の購入を次年度に繰り越したため,次年度使用額が生じた.次年度では,翌年度分として請求した助成金と合わせ,予備検討および本実験を行う予定である.
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Research Products
(2 results)