2022 Fiscal Year Annual Research Report
津波即時予測のための周波数特性を考慮した地形による津波増幅効果の定量化
Project/Area Number |
20K22432
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮下 卓也 京都大学, 防災研究所, 助教 (60874104)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 津波 / 応答関数 / 海溝型地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
沿岸の対象地域を駿河湾内部およびその周辺域とし,地形による津波の周波数応答特性を求めた.まず,確率過程を導入した震源断層生成モデルを用いて南海トラフ地震を対象にランダムなすべり分布をもつ断層モデルを多数生成し,それぞれ津波計算を行った.この津波計算結果から波源域・沿岸域での時系列波形のスペクトル解析を行うことで津波の応答関数を求めた.波源域と沿岸域の評価地点の選定には,津波のray tracingから伝播経路を抽出し,その経路上の地点を用いた.求めた応答関数ついては.地形形状から概算した固有周期と比較し,その妥当性について評価した.その結果,対象地点間のスペクトル比のシナリオ間アンサンブルをすることで,津波伝播過程でのそれぞれのスケールに対応した卓越周期が抽出された.また,抽出した応答関数は単純化した地形条件での理論的な共振周期と一致し,本手法の妥当性が示された.本研究で求めた応答関数は,波源スペクトルからの畳み込みによる沿岸域の最大津波振幅の予測や,津波の継続時間の定量的予測への応用が期待される. また,研究期間中である2022年1月にフンガトンガ・フンガハアパイ火山の大規模噴火があり,日本でも噴火に起因する気圧波によって津波がもたらされた.この現象は当研究課題のキーワードである海底地形特性が支配しているため,この津波の現象を説明する要因の分析を行った.火山から日本沿岸までの広域かつ詳細な数値実験計算を行った結果.日本沿岸での津波の増幅をある程度再現し,地点ごとに増幅要因が異なることが明らかになった.
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