2021 Fiscal Year Annual Research Report
ステンレス鋼を桁端部へ適用した高耐久橋梁に向けた異種金属接触腐食抑制手法の提案
Project/Area Number |
20K22434
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
蓮池 里菜 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教(テニュアトラック) (80886218)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 異種金属接触腐食 / ステンレス鋼材 / 炭素鋼材 / 突合せ溶接 |
Outline of Annual Research Achievements |
鋼橋の劣化要因の一つである腐食を防ぐため,耐久性に優れたステンレス鋼材(SUS)を橋梁桁端部にのみ適用し普通鋼材(SM)と併用した,LCCに優れた高腐食耐久性橋梁の実現を目指す.これに向け, SUSとSMの接合部で発生が懸念される,SM材側で激しく腐食が進行する異種金属接触腐食について,大気環境下における腐食程度を明らかとした上で,抑制手法の提案を試みた. 本年度は,前年度決定した試験体形状および促進条件に基づき,大気環境下を想定した腐食促進試験を実施し,さび厚の測定により異種金属接触腐食の程度,発生範囲の特定を試みた.前年度の研究結果よりSUS鋼の種類による影響が考えられたため,SUS304,SUS821Lを対象に,引張り強度の近いSM400,SM490と組み合わせた試験体,比較対象としてSM400同士を組み合わせた試験体を作製し検討した. 0.1%NaCl溶液供給による腐食促進試験144サイクル後に計測した,SM材の余盛近傍0-1cm範囲の平均さび厚は,SUS304-SM300,SUS821L-SM490試験体は,SM400-SM400試験体と比較し約4.7倍,4.9倍と大きくなった.一方,水道水供給による促進試験を行った試験体においては,それぞれ約1.1倍,1.4倍となった.また,0.1%NaCl溶液供給のSUS304-SM300,SUS821L-SM490,SM400-SM400試験体において,溶接部近傍0-1cm範囲の平均さび厚は1-2cm範囲の約1.6倍,1.6倍,1.0倍であった. 以上より,腐食促進試験環境下における異種金属接触腐食は,塩化物環境下において著しく,溶接余盛近傍,すなわちSUS材近傍において端部と比較し大きくなることが分かった.本研究結果より,溶接部近傍0-1cm範囲において塗装による防食を施すことで,異種金属接触腐食の抑制可能性が示唆された.
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