2020 Fiscal Year Research-status Report
信号交差点における飽和交通流率の基本値に関する研究
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20K22435
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
青山 恵里 日本大学, 理工学部, 助手 (40874954)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 飽和交通流率 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国の現在の交通流における飽和交通流率の基本値に相当する値の実態を明らかにするために、都市部だけでなく地方部における観測を行った。今年度は、東京都、千葉県、埼玉県、茨城県、沖縄県の信号交差点において調査を行った。コロナ禍のため緊急事態宣言時の調査および遠方への出張が困難な期間が長く、関東での観測に偏ってしまったが、ドライバー特性や運転頻度、車種構成の違いも考慮して関東地方の中で高齢者が多い地点などを選定して調査を行った。 観測結果をこれまでに東京都内で観測された結果と比較しても大きな違いはなく1,700台/青1時間前後の値をとる交差点がほとんどであり、これまで主張されている飽和交通流率の低下は、地域に限らず見られる現象だと考えられる。 今後は関東以外の自動車分担率の高い地域などにおいて調査を行い、様々な地点での観測結果を踏まえて、飽和交通流率の基本値に相当する値を提示する。 また、観測したデータの中で高齢運転者標識の有無により、高齢者とそれ以外(一般運転者)に分類したところ、車尾時間に大きな違いはなく、飽和交通流率に与える影響も大きくないことが明らかとなった。一方で、発進遅れに着目すると、高齢者は一般運転者に比べて発進の遅れが大きくなる可能性があることがうかがえた。そのため、今後は地方部での飽和交通流率の観測に加え、信号が赤から青に切り替わった際の発進挙動についても観測、分析を行うことで、飽和交通流率が過去と比べて低下していることの要因の検討につながるものと考えている。 飽和交通流率の低下が交通社会に与える影響の分析については、単一交差点での遅れ時間等の変化については分析が済んでいるものの、ネットワーク単位での分析についてはパラメータの設定方法等について検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のため地方部での観測を行うことが困難であった。そのため、移動距離が短く、宿泊を伴わない範囲で調査を行うことができる関東での調査を行った。なお、関東地方を除く地方部の調査については5カ所を目標としていたが、現状で1カ所に留まっている。 また、地方部での観測結果も踏まえ、飽和交通流率の低下が交通社会に与える影響についても検討する計画であったため、こちらも都市部での観測結果のみを反映したものとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
感染状況を把握し、感染対策を十分にとった上で地方部での観測を試みる。地方部の調査地点の選定方法としては自動車分担率が高い地点、高齢者割合が高い地点、観光のための自動車利用が高い地点を対象とする。 地方部での観測結果を用いてこれまでの都市部での観測結果と比較を行い、運転者属性や運転目的等の違いによって飽和交通流率の値に違いが生じるかを検討する。 また、交通社会に与える影響についても検討を進め、得られた知見をまとめて学会に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度はコロナ禍のため研究実施計画通りの調査・分析を行うことができなかった。そのため、次年度では初年度に計画していた地点も含めて調査を行うため、次年度使用額を旅費や人件費等に充てる予定である。
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