2021 Fiscal Year Research-status Report
Conceptualization of 'Managed Retreat' and Re-naturalization through Buyout Project for Disaster Risk Reduction and Recovery
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20K22440
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大津山 堅介 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (50881992)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 気候変動適応策 / バイアウト / 撤退 / 宅地の再自然化 / 事前防災投資 / 事前復興計画 / 復興事業手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度9月より開始した本研究では,撤退(Retreat)概念の具体的施策であるバイアウト事業に着目し,洪水常襲住宅地の再自然化による減災や移転の波及効果を検証するものである. 2021年度では米国バイアウト事業アウトカムの比較研究として,地域安全学会査読論文一遍(学会発表含む),日本建築学会梗概一遍(発表含む),日本建築学会大会,パネルディスカッション報告書一遍など,成果という観点では順調な進展が見られた. 査読論文では,米国連邦緊急事態管理庁(FEMA)オープンデータを活用したバイアウト事業を含む減災事業の定量的分析を進め,成果として①米国では被災後の後追いの防災予算から気候変動適応策を含めた事前の防災投資が可能な制度体系に変容したこと,②バイアウトか「高床化への補助」かという選択は州によって大きく異なること,③リスクの増大や水害等の再発生度合いだけではなくその他の変数によってバイアウトが選択される可能性を示唆したことが挙げられる. その他の成果として,他大学の研究セミナーにおいて上記査読論文の内容やバイアウトに関する報告を行い,グリーンインフラと再自然化との親和性を確認するなど,情報交換という意味でも重要な成果を得た.また同研究の発展的展開として,他研究者とともに災害復興事業における用地取得に関する国際比較を進め,2022年度には報告書としての研究報告,更には査読論文として公表予定である. 2021年度の成果から今後の日本国内における将来の気候変動適応策への示唆を得ることができた一方,新型コロナウイルスの影響により現地調査が進んでいないことから,本研究を一年間延長し,2022年度も継続することとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は資料収集と情報整理を行い,2021年度は査読論文一遍と学会での報告,並びに他大学でのセミナーでの発表など順調な進捗がみられたため,成果という観点では「順調に進展している」と言える.一方で,新型コロナウイルスの影響により米国への渡航が叶わなかったため,現地調査に関しては「やや遅れている」ため同研究を一年間延長することとした.2021年度には研究対象地であるニュージャージー州でバイアウトを担当していた実務者との関係構築ができたため,2022年度は現地調査を実施し,本申請研究を完了させる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度はワクチン接種状況や国際移動制限の緩和が少しずつ進展しているため,予定されていた現地調査を実行する.上述のように現地のバイアウト実務者との関係を構築することが出来たため,残存世帯へのアプローチが可能となり,定性的な情報収集に努める.また現在,他研究者と共に災害復興事業に係る用地取得に関する国際比較論文を執筆しているため,同研究に関する査読論文としての成果公表も予定している.
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Causes of Carryover |
2021年度も新型コロナウイルスの影響により海外渡航ができず米国における現地調査が実施できなかったため研究を一年間延長した. 2022年度における繰り越し助成金は,米国渡航費用,並びに学会参加費,論文投稿費等として執行予定である.
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